エルトンやピンクも御用達のファッションデザイナー、ボブ・マッキーが語る「伝説の12着」

・悪魔になったエルトン


Courtesy of Bob Mackie

彼には天使の衣装を作ったこともあるんだ。ものすごく大きなスパンコールの羽根がついたやつ。新作映画『ロケットマン』を見て気づいたんだけど、映画のほうでも「悪魔」の衣装を作ってたね。全く同じじゃないけど、確かにこれをもとにしている。

・ドナルド・ダックになったエルトン


Courtesy of Bob Mackie

彼はおしゃれが大好きで、コスプレも大好きだった。この衣装にも喜々としていた。彼はコンサートの間ずっとピアノの前に座りっぱなしだから、おそらく「シェールみたいな衣装を着たら面白いんじゃないか?」と思ったんだろうね。スパンコール製のドジャーズのユニフォームを作ったこともある。最初から最後まで、ミニー・マウスの衣装でやったコンサートもあったよ。僕が「ドナルド・ダックはやらないの?」って言ったもんだから、実際に作ることになった。後ろのほう、しっぽのあたりには全体的に詰め物をしている。あれを着たまま、椅子に座ってピアノを引くのは一苦労だったみたいだけど、彼はユーモアのセンスで笑い飛ばした。うまくいかないことがあっても、彼は何とかこなしてたね。

・金の翼とフリンジ姿のティナ


Courtesy of Bob Mackie

あれは70年代後半、元夫のアイクと別れたころだった。2人は解散して、彼女はナイトクラブ周りをしていた。ミック・ジャガーとロックの巨大スタジアムツアーをやる前の話だよ。これはいかにもティナって感じの衣装だ。彼女はこういう羽モノやフリンジ系を喜んできてくれた。本当に面白い女性だよ。もちろん今もね。ミュージカル『ティナ』は面白かったな。舞台で描かれる出来事を、僕も彼女と一緒に実際に経験していたんだから。

・シェール:「ターン・バック・タイム」


Courtesy of Bob Mackie

この衣装は何年もの間に、いろんなバージョンがあるんだ。その都度ちょっとずつマイナーチェンジしてるんだよ。だけど、基本的にはこの形。僕らはこれを「ダイヤモンドを埋め込んだスイスチーズ」って呼んでた。人前で言ったことはなかったけどね。肌のところに穴が開いててダイヤが埋まっている感じがスイスチーズみたいだと思ったんだ。

・ダイアナとエルトンと共演するシェール


Courtesy of Bob Mackie

これは彼女のために特別に作った衣装。とくにお気に入りの1着だよ。チューブビーズも、ダイアモンドも、全部。当時彼女は時の人だったから、本当に何を着てもさまになった。面白いことに、ある時期エルトンとダイアナ・ロスとシェールが一緒に共演することがあったんだ。どんなイベントかは覚えてないけど。とくにイベント用に作ったわけじゃなかったけど、彼女はこの衣装がふさわしいと思ったんだろうね。もちろん、ダイアナはいい顔をしなかった。彼女は当時妊娠してたからね。

・シェール:オスカープレゼンターの衣装


Courtesy of Bob Mackie

あの年(1986年)、オスカーの出演者はみな、オスカーにふさわしい服装のガイドブックを渡されたんだ。彼女のリアクションが想像できるだろう(笑) 彼女はこう言ったよ、「あらまあ、じゃあ私がいつも着てる服でいいのね」って。彼女はそれまでいろんな映画で、しゃれっ気ゼロの野暮な女性の役を演じてきた。きっとノミネートされるだろうと思っていたんだろうけど、実際はノミネートされなかった。「じゃあ、せめておしゃれして楽しみましょう」って彼女は言って、本当にそうしたってわけさ! この写真はいまも毎年雑誌で取り上げられているね。当時の衣装と同じものが『The Cher Show』にも登場する。まったく同じ、瓜二つの衣装を作ったんだ。あれだけの年月が経っても、いまだにオーディエンスがあの衣装を覚えているなんて素晴らしいよね。ステファニー・J・ブロックがあれを着て登場すると、会場から拍手が沸き起こるんだ。ものすごく愉快だよ。

Translated by Akiko Kato

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