1970年代から現代まで、LGBTQを讃える名曲26選

ダイアナ・ロス「アイム・カミング・アウト」(1980)

多くのダンスフロア・レコードがそうであるように、1980年にリリースされた「アイム・カミング・アウト」は、ダイアナ・ロス本人がナイル・ロジャースと、シックの中心メンバーであるバーナード・エドワーズが、プロデュースを依頼した。ロジャースはのちにMail on Sunday紙に対して、この曲を書いた理由を「彼女が同性愛者を支持したいと言っていたから」と明かした。しかしこの時、ロスに小さな嘘をついたと言う。「DJが彼女に、“(この曲は)彼女のキャリアを台無しにするだろう”と伝えたそうなんだ——人々は、彼女が同性愛者だと思うだろうから、とね」と、ロジャースは語る。そして「その時、初めてアーティストに嘘をついた。“君は、何を言ってるんだ?そんなクレイジーなこと、人生で初めて聞いたよ!”と返したんだ 」と、当時を振り返った。そして元ザ・スプリームスの彼女は今、自身のショウを行う際、生き生きとした力強いトラックとともに幕を開ける——そしてこの曲はザ・ノトーリアス・B.I.G.とパフ・ダディ(訳注:現ショーン・コムズ)による、ヒップホップシーンにおける往年の名曲「モー・マネー・モー・プロブレムス」のサンプリング楽曲として、新たな人生を歩んでいる。

エルトン・ジョン「エルトンズ・ソング」

エルトンが自身のキャリアの中で不器用であり、最も暗く、混乱していた1981年にリリースされた『ザ・フォックス』。そこから見落とされていたのが、この「エルトンズ・ソング」だ。この曲は、同性愛者として成長していく様を表したピアノバラードになっている。歌詞は「グラッド・トゥ・ビー・ゲイ」でその名を世に知らしめたイギリスのパンクロッカー、トム・ロビンソンによって制作された。一番の聴きどころはクライマックス、エルトンが「僕の人生をあげるよ/君の隣に一晩いるために」と歌い上げるパートだろう。おそらく彼は、自身の高ぶる感情に恐ろしさを感じていたのかもしれない——それは彼が、すべてを世に明かそうとする、数年前の出来事だった。

ウェザー・ガールズ「ハレルヤ・ハリケーン」

この素晴らしい、泡立つような、体の疼く夢のようなダンスソングには、驚くべき2つの事実がある。デヴィッド・レターマンの右腕であるポール・シェイファーが(ポール・ジャバラと)制作した作品であり、ドナ・サマーがこの曲以外に、レコーディングを拒んだ作品はなかった。「彼女は歌詞を嫌っていました。なぜならドナは、再びクリスチャンとして生まれ変わっていたからです。彼女は、罰当たりな内容だと感じたようです」と、シェイファーがヴァニティ・フェア誌に明かしている。しかし問題は無かった。トゥ・トンズ・オブ・ファン=ウェザー・ガールズとして再洗礼された彼女たち(数十年に渡ってスタジオ・シンガーとして大活躍したマーサ・ウォッシュもメンバーだ)が立ち代わり、セクシーな潤いに餓えた人間たちが乾期を吹き飛ばす様子をアピールして、大ヒットを飛ばしたからだ。ハレルヤ!

Translated by Leyna Shibuya

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