モー娘。ライブの舞台裏 マニピュレーターがこだわる「呼吸」の大切さ

2018年、初となるメキシコ公演のステージに立つモーニング娘。'19(©UP-FRONT PROMOTION)



ー先ほどもお話されていましたけど、曲に入るときのメンバーとの呼吸の合わせ方は難しいものですか?

大阪 普段は全員での曲紹介はあまりなくて、MCで喋ってる誰か一人に合わせることが多いんですけど、そこで息が合うか合わないかっていうのは一番難しいと思ってます。だから、次の曲に入りやすいように、「ここはこうしようよ」っていう話はよくしますね。僕らが入りやすいっていうことは、恐らくお客さんも聴きやすいと思うんです。例えば、ものすごくしっとりしたバラードを歌うときに、「タイトルは○○です!」って早口で言われたら「あれ?」ってなるじゃないですか。そうじゃなくて、その曲の気持ちになって曲紹介をしてくれないとうまくつながらなかったりするんです。そういうところは難しいし、面白いところかもしれないですね。

ー言われてみると、タイトルコールから音が鳴るまでの間って絶妙ですよね。

大阪 絶妙って言ってくれるとありがたいです。実は目の印象も大きかったりして、照明さんとの関係性も大事だったりするんですよ。例えば、メンバーが喋ってるときはたいてい明かりがついていて、次の曲に入るときに明かりがついたままのときもあれば、一回暗転してからはじまるときもある。後者の場合は暗転のタイミングに合わせて音を出すとより分かりやすくなりますよね。だけど照明がまだついていて本人たちの姿が見えてるときに曲が流れ始めて、その後に暗転してしまうとカッコ悪いんです。少なくともお客さんの意識としては「あれ?」ってなりますよね。それが嫌だなって。

ーそういうタイミングについて、メンバーと話し合うことはあるんですか?

大阪 ありますよ。コンサートが終わって、今日はこうだったああだったってスタッフを交えて話すときに、「あそこのタイミングが……」って話になると、「どうすればよくなるだろう」「じゃあ、照明はこうしたらいいんじゃないか」とか、「MCの言い方はこうしたらいいんじゃないか」とか。「じゃ、僕はこうするけど、どのタイミングで音が欲しい?」っていう話をすることはありますね。



各セクションの連携が生み出すもの

ーところで、モーニング娘。は時期によってサウンドの方向性が違いますよね。

大阪 そうですね。なので、新しい曲と古い曲を並べると音にものすごく差が出るんです。その違いをどう理解してどう処理していくかはPAさんと一緒によく悩んでますね。

ー違和感なくつなげないといけないわけですね。

大阪 『セカンドモーニング』(1999年)というアルバムは、生バンドを使ってニューヨークで録ったものすごくいい作品なんですよ。今聴いてもいい演奏、いい音楽に仕上がってる。でも、あのアルバムの曲を今のモーニング娘。’19の楽曲と並べると、今の楽曲が強すぎて、色が薄くなっちゃうんですよね。

ーそういうときはどうするんですか?

大阪 ディレクターさんや事務所の方と相談します。どちらかに寄せるか、もしくはその真ん中あたりにするか、そのへんはケースバイケースですね。現場レベルで対応できないことは、レコーディングに戻って作り直すこともあります。そういった曲に対するこだわりに関しては、モーニング娘。さんはずば抜けていますよね。メンバーのパフォーマンスを見せられたらそれでいいということではなく、音楽的にもちゃんとしたものを作ろうとする意識の高さは凄いと思います。

ーなるほど。

大阪 レコーディングチームはコンサートのことをちゃんと想定していて、こちらからのリクエストもしっかり理解をしてくれる。それがものすごく大きいですね。

ー「これでやってくれ」と押し付けるのではなく。

大阪 そうですね。だから、僕らもレコーディングでのイメージをコンサートでうまく再現するために考えるんです。僕の立場としては、本当はお客さんにもそこを聴いてほしいですけどね。「モーニング娘。’19って音が違うよね」って。

ーそうやって各セクションとの連携がコンサートの出来不出来に影響を及ぼすんですね。そして、モーニング娘。’19チームはその点でうまくいっていると。

大阪 だと思います。最初は別にそんなことには気が付かなかったんですけど、ここまで続いてくると、やってる僕らが言うとアレですけど、「このチームって凄いな」って。お互いが自分の立ち位置をちゃんと理解しているんです。それぞれのセクションができることを勝手にやるんじゃなく、「じゃあ、こうしようよ」っていう足並みを揃えられるところがいいのかなって。

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