モー娘。ライブの舞台裏 PAが引き立てるメンバーの「歌」

ー去年、最も成長したメンバーは誰ですか?

渡邉 12期の3人は伸びましたね。ユニゾンがすごくよくなってきました。2時間も歌い続けると途中でヘバっちゃったりするんですけど、コンサートを通じて同じ感じで歌えるようになってきた。体力がつきましたね。あと、小田は別次元です。

ーやっぱり小田さんは違いますか。

渡邉 小田は良い意味でマシンみたいですね(笑)。歌の面で今のモーニング娘。’19の全体を担っていると思います。

ー印象的な声を持っているメンバーは?

渡邉 譜久村ですね。譜久村は長いスパンで見たときに、一番上手くなったと思います。声のきれいさで聴かせるヴォーカルなんです。

ー他のメンバーはいかがですか?

渡邉 佐藤は潜在能力的には一番高いと思います。あと、佐藤は出音をすごく気にしていて、耳がいいというか、音楽的な感性がずば抜けていますね。僕はバースデーイベントのPAもやってるんですけど、佐藤は「ここにこういうエフェクトをかけてほしい」みたいなことを言ってきます。そういう要求をするメンバーは彼女だけですね。

ーメンバーの調子って、音程がとれてる/とれてない以外でもわかるものなんですか?

渡邉 わかりますね。感覚で「あれ?」って。誰々の声がちょっとおかしいなと思うと、リハの後に「私、今日ちょっとダメなんです」って。

モー娘。の強み

ー彼女たちの強みはなんだと思いますか?

渡邉 歴史ですかね。「伝統を守ろう」という意識まではないかもしれないですけど、先輩がこれまでに積み重ねてきたものは絶対に背負っているはずなので、そういうプライドは持っているんじゃないかなと思っています。

ーどういった場面でそういうことを感じますか?

渡邉 何かに初めて挑戦するとき、最初は動揺しているように見えても最後にはちゃんと自分たちのものにしているんですよ。こないだ初めてディナーショーをやって、最初はみんなガチガチに緊張していたんですけど、最後には自分たちのものにしていましたから。本番に強いというか、そういう強さはありますね。他のグループよりもいろんなことを経験していますから。

ーやっぱり、ツアーの最初と最後でパフォーマンスは変わってくるものですか?

渡邉 そうですけど、わりと早い段階で形にはなってます。そういうところもプロだなあと思います。

ー卒業が決まったメンバーは様々な面で変わってくるという話を大阪さんから聞きましたが。

渡邉 まず、見た目が変わりますね(笑)。びっくりするぐらいかわいくなったり、きれいになったりします。歌に関しても膜が取れる感覚があるというか。みんなネガティヴな気持ちで卒業するわけではないので、晴れ晴れした感じって言うんですかね。そういうのが出てくると思うんです。

ーここまでこだわって音作りをしているアイドルは他にいるんでしょうか。

渡邉 どうなんですかね(笑)。僕はいないと思っています。納品されてくる音のクオリティが高いので、僕らは楽です。……まあ、楽ではないですけど。

ー楽じゃないですよね!

渡邉 まあ、悪い音をよくするよりは、いいものをいいまま出すほうが(笑)。悪い音をよくする作業はPAとしてはあんまり楽しくないですから(笑)。


メンバーのカラーで分けられたマイク。実際にライブで使用されるもの。(写真提供:渡邉栄一)






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