レッド・ツェッペリンの成功から見る、音楽レーベルのストリーミング活用法

レコード会社は、レッド・ツェッペリンをはじめとする往年のアーティストのヒット曲から再び利益を得ようとしているIan Dickson/REX/Shutterstock


かつての音楽業界におけるカタログマーケティングは意外性や活気がなく、儲けも控えめだった。CD全盛期にレーベルのカタログ部門は、有名アーティストの周年記念としてボックスセットやグレイテストヒッツのコンピレーションアルバムをリリースしたものだった。一部の熱狂的なファンを除き、それらリリースに対する需要は限られていた(また、それら新商品への興味を惹きつけることのできる有名アーティストの数も同様に限られていた)。全てがデジタル化されたスピードの時代、若い世代のリスナーが新たな発見を求める中、レコード会社が優位に立つ状況となり、カタログ部門はイノベーションとフレッシュなクリエイティビティの中心的役割を求められている。

「わずか1年前と比較しても、今は急速に変化している」と、フレイザー=ハーディングは言う。1980年代にHMVのストアマネジャーからキャリアをスタートした彼は、業界30年のベテランだ。「今はカタログ市場にとても注目すべき時期だ。自分の仕事に目を向けると、2台の走るトラックに両足をかけて身動きの取れないジャン=クロード・ヴァン・ダムの出演した少し前のCMのようだ。片方のトラックからもう1台へと飛び移れる状況にはない。物理的に計り知れない重要性を持つ実績あるアーティストと、ストリーミング時代にもてはやされる現代のアーティストとのバランスを取ることが大切だ。」


レッド・ツェッペリン50周年記念サイト(lz50.ledzeppelin.com)のスクリーンショット

古臭いバックカタログを収益化するにあたり、既存のファン向けのボックスセットをリリースしても、もはや効果はない。また、熱狂的なファンや新たなリスナーを取り込むためのアーティスト売り出し計画や、楽曲ごとの戦略を展開しても同様だ。SpotifyやApple Musicは、それら戦略をより手軽に展開できるようにした。現代のアーティストの多くが音楽ストリーミングサービスの著作権料の低さに不満を持つ一方で、レコード会社はストリーミングを、ロングテール効果のある、恐らく果てしない収益源として捉えている。緩やかながら着実に滴り落ちる少額の収入が時間をかけて積み上がり、山となるのだ。この哲学は、特にカタログ部門へと格下げされたアーティストに効果的だ。それらアーティストの多くは最近特に目立った活動がなくここ数年新たなリリースもなくとも、過去には長期的なヒット曲があったり、突然若い世代のコンシューマーにウケる可能性が大いにあると判断されたりする。

レッド・ツェッペリンのような有名バンドがすべきタスクは、シンプルながらわざとらしい策略に見えない方法でオーディエンスを拡大すること。その他のあまり有名でないアーティストに関しては、レコード会社のカタログ部門が別の戦略を試みている。例えば現代のアーティストに、自分がインスピレーションを得た古いアーティストや楽曲について公の場で発言させたりする。発言を聞いたせんさく好きなティーンらが、ストリーミングの新たな波を起こす可能性もある。「誰もがいつでもスマホを取り出してShazamを使う訳ではない。我々はマーケティングやファン・エンゲージメントを通じ、古い楽曲についてコミュニケーションを図るための新たな方法を見つけられるようにしなければならない」とフレイザー=ハーディングは言う。

Translated by Smokva Tokyo

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