米フロリダ銃乱射事件犠牲者の父親、スペシャルズのライブで銃の危険性を熱弁

銃乱射事件の犠牲者ホアキン・オリバー君の父親、マヌエル・オリバー氏 (Photo by Noam Galai/Getty Images for Global Citizen)

米フロリダ州パークランドの高校で起きた銃乱射事件の犠牲者ホアキン・オリバー君の父親、マヌエル・オリバー氏は、先週ニューヨークのBrooklyn Steelで行われた伝説のスカバンド、ザ・スペシャルズのライヴで力強いスピーチを行った。

オリバー氏はバンドメンバーに促されてステージに上がった。「ザ・スペシャルズは俺が一番好きなバンドのひとつなんだ」と言いながら、オリバー氏は観客に向かってパークランドのマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で起きた銃乱射事件で息子を失ったこと、そして事件をきっかけに、銃規制への活動に生涯を捧げるようになった経緯を語った。

「この国はいくつかの問題を抱えている。そのなかでも俺にとって一番気がかりなのが、一部の連中が間違ったメッセージを垂れ流してるせいで、銃という忌々しい武器を持ち歩くことが自己防衛だ、と人々が勘違いしていることだ。そんなことには断固反対だ」とオリバー氏は観客に語った。

「それに俺が銃に対してNOという理由は、俺が時代遅れでタチの悪いクソッタレだからさ。ここにいる皆さんのようにな。でも、アメリカ人の行動主義に対する考え方も俺と同じくらい時代遅れで、協力し合えば限界を超えられると信じている。これは朗報だ」。

“ワック“の愛称で呼ばれていたホアキン・オリバー君は、2018年2月14日にフロリダ州パークランドで発生した銃乱射事件で命を落とした17名の学生と学校関係者のひとりだ。ホアキン君は、事件後にオリバー家と親交を持つようになったNBAのマイアミ・ヒーツのスター選手、ドウェイン・ウェイドのジャージを着て埋葬された。

以前、マヌエル・オリバー氏は、コメディアンのルイ・C・Kがパークランド事件から着想を得たジョークをスタンドアップコメディの舞台で披露した、というニュースを聞いてコメディアンを非難した。それ以来、オリバー氏は銃の危険性を訴えるChange The Ref (CTR)という団体を発足し、その活動に生涯を捧げてきた。「(CTR)は、アーバンアートとクリエイティブな対立を通じて、アメリカ中にはびこる銃が原因の大量殺人が招く壊滅的な結果を訴え続けています」とCTRは声明を発表している。

「2月14日、皆さんもご存知の通り、俺の息子が殺された。でも、ホアキンの親であるパトリシアと俺はまだ生きてる。俺は皆さんと一緒に闘い続ける。もう自分の子どもを守るには少し遅すぎる。でも、いまの俺たちの義務と使命は、皆さんの子どもを守ることなんだ」とザ・スペシャルズのライヴでオリバー氏は語った。

「俺の息子を殺したことで、犯人はとんでもねぇ家族を怒らせてしまったんだ。俺たちはこの問題を解決してみせる」と締めくくると、オリバー氏は待ち構えていたモッシュピットにダイブした。


Translated by Shoko Natori

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