以前は新しいものに興味がなかったーちょっと話題は変わりますが、HYDEさん自身も音楽や映画など海外カルチャーからいろんなものを得ていると思います。そういう刺激って、今の海外カルチャーからも得られているんでしょうか?HYDE あるかなあ……特に刺激はないかもしれないですね。ただ、最近はなるべくほかのアーティストのライブに行くようにしています。僕はこれまで人のライブにあまり興味がなくて、ほとんど行ってなかったんですけど、最近は「ああ、面白いことしてるな。僕にはこういう発想はなかったな」と感じることも多くて。やっぱり井の中の蛙になりがちだから。オリジナルの世界観はできるかもしれないけど、人のライブを観たほうが「自分より面白いことをやっているな」と気づけるし、そういうことが重要だと思うのでなるべく観るようにしてます。
ーそうだったんですね。ちなみに、最近観て面白かったアーティストっていますか?HYDE こないだブリング・ミー・ザ・ホライズンを観てきました。フィーヴァー333がサポートに付いていて、そのへんのバンドは面白いなと思いました。
ーその2バンドって今のヘヴィでラウドなジャンルの中でも、まさに一歩先を進んでいる感の強い存在ですよね。HYDE 確かに。新しいことをしようとしている感じが伝わりますよね。逆に僕はそういうことに対して、まったく興味がなかったんですよ。新しいことをやるよりも、単にいい曲があればいいんじゃないの?っていう。でも、最近はそこも重要なんだなと思うようになって、自分で曲作りをしていてもなるべく普段自分が選ばないようなメロディとかを考えるようになりましたね。それこそ一昨年、MIYAVIと作品を作ったんですけど(2017年発売の『SAMURAI SESSIONS vol.2』収録曲「All My Life」)、彼もそういうことを言ってたんですよ。たぶん僕が出したアイデアが普通だったんでしょうね。僕は普通でも曲が良ければいいと思っていたんですけど、MIYAVIは「もっと新しいことがしたい」って貪欲だったので、アーティストは本来はそうあるべきなんだろうなって気づかされました。それもあって、最近は自分が聴いたことのないようなメロディを探すようにしています。
ー最近だと「ZIPANG」あたりから感じるテイストはまさにその一環なのかなと、今のお話を聞いて感じました。余談ですが、HYDEさんは先日、Twitterでモトリー・クルーの映画『ザ・ダート:モトリー・クルー自伝』に対してリアクションしていましたよね。それこそ最近はクイーンの『ボヘミアン・ラプソディ』含め、こういうロック映画が増えていますが、ああいう作品は観られたりしますか?HYDE もちろん観ますよ。やっぱりそのへんはバンドが持つストーリーがドラマチックだから、「あれって実はどうだったの?」みたいにワイドショー気分で観たいというか(笑)。ドキュメンタリーですけど、それこそX JAPANの『WE ARE X』もドラマチックだったし。事実は小説よりも奇なりというか、リアルだから面白いんです。あれがフィクションだったら大したことないと思います(笑)。最近、TVを観ていても、ニュース以外はあんまり興味がないんですよね。そういうリアルなものが刺さるわけで、モトリー・クルーもその歴史がドラマチックだから観ていて面白いのかなと。
ーかなり破天荒なバンドでしたし、どこまで表現されるのかも楽しみですよね。HYDE ですね。でも、日本だったらドラッグとかそういった類のネタはダメでしょ。アメリカだとそこもスパイスというか、そういうところがいいですよね。
ー仮にもし、HYDEさんご自身の半生が映画化されるとしたら……。HYDE 僕のはつまらないと思います(笑)。全然ドラマチックじゃないし、面白くないですよ。
ーでも、この先に大きな山となる出来事があったとしたら?HYDE それは面白いかもしれない(笑)。自分の力でソロでマディソン・スクエア・ガーデンまでできたらカッコいいよね。そうしたらドラマになるし。
Photo by Tim Gallo for Rolling Stone Japan