ロックとファッション、デザイナーが語るアーティストのスタイル

俺はレミーだ、好き勝手させろ
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Courtesy John Varvatos

「レミー(・キルミスター)はロックを象徴する人物のひとりだ。いわゆるイケメンタイプというわけではないが、1970年代初頭、もっと若い頃にホークウィンドというバンドを組んでいた頃は、なかなかハンサムだったよ。その後、酒とアルコールでルックスに気を使うことをやめてしまったんだ。そこからあいつは制御不能になった。」とバルベイトスは笑った。「これは帽子の章の写真だね。レミーのカウボーイハットが見せたくて、この写真を選んだ。レミーを正統派ロッカーと並べて見せるのが好きなんだ。レミーは、相手に対して‘ファックユー’と言っているような雰囲気がある。アメリカ国旗をモチーフにしたシャツとこの帽子を見てほしい。まるで『俺はモーターヘッドのレミー、反逆者だ。好き勝手させろ』と言っているようだ。そして、彼は最期までその生き方を貫いた」

カメレオン的ファッション
サンプル
Courtesy John Varvatos

「これはヴェルヴェット・リヴォルヴァーのミュージック・ビデオ撮影のアウトテイクだ。ポンチョと帽子のこの組み合わせが大好きなんだ。いかにもスクリーンのなかのクリント・イーストウッド風なのに、スコット・ウェイランドらしさも全開だ。黒い革パン、レザージャケット、大きな襟をあしらったテーラーメイドの3ピーススーツなど、スコットのファッションセンスはカメレオンのようだ。まさにあの時代の夢追い人だったよ。ステージの上でも、そうでなくても、ちょっとした俳優のような存在感を狙ってたんだ」

ビートルブーツ
サンプル
Courtesy John Varvatos

「シューズとブーツの章の写真だ。ポールの写真の左隣は、ビートルズのメンバーの膝から下だけを撮ったものだ。全員がビートルブーツを履いている。その上が、キューバン・ヒールという少し高めのヒールと、つま先が尖ったビートルブーツを履いたジミ・ヘンドリックスだ。ビートルブーツは音楽の世界でもかなり人気だった。ビートルズからジェームス・ブラウンまで、みんなが履いていたよ。面白い時代だったね。ポール・マッカートニーが履いたとたん、ビートルブーツはビートルズのスタイルの象徴となった。その後、人々はビートルブーツを履かなくなり、厚底履が主流になっていった」

少し高めのヒール
アンプル
Courtesy John Varvatos

「1970年代に私はこういった靴にかなり影響を受けていたし、実際、履いていた。私は背が低いわけではないが、それでも少し高さをプラスしてくれるような、やや高めのヒールの靴を履くのが好きだった。フォトグラファーのバロン・ウォールマンが撮影したこの写真が大好きなんだ。これは、ポーズを決めて撮ったものではない。子どもとか、靴とか、構図の何もかもが気に入ってる。私の本には、デヴィッド・ボウイとライアン・アダムスがこのような靴を履いている写真もある。トーン、色、靴の模様はどれもだいたい同じだ。私の本では、アーティストが他のアーティストやファッションに影響を与えたケースを紹介している」

Translated by Shoko Natori

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