カリフォルニア・ヴェニスのパンク、スケート・カルチャーを体現するアーティスト

スタイルの変遷

ーリックの昔の写真を見ると、サーファー調だったり、ロングヘアだったり、スパイキーヘアに鋲ジャンだったりと、いろんなスタイルの変遷があったみたいですが。

リック スタイルの時代だったからね。パンク・ロックが流行る前の地元はみんなロングヘアにしてたし。俺の親父は床屋だったんだけど、俺が髪を立てたり、染めたりするのはスゴく嫌がってたね(笑)。親父はローライダーが好きだったから。

ーリックは絵のモチーフとしてスカルをたくさん描いていますが、リックにとってのスカルとは?

リック スカルは子どもの頃からずっと好きなんだよ。スカルをずっと描き続けたら、俺はスカルで有名になってしまったんだ。

ーリックの描くオリジナルなスカルは、どのようにして自分のスタイルにしていったんですか?

リック どのようにしたんだろうね。ただ、ドットで描いたのは俺らしかったのかな。それでスゴく意地の悪い感じのスカルにしたんだ。


©︎RIC CLAYTON


©︎RIC CLAYTON


©︎RIC CLAYTON


©︎RIC CLAYTON

スイサイダル・テンデンシーズの有名なグラフィックや手描きのシャツ。スケート・デッキは2015年に出たドッグタウンとマイク・ヴァレリーのコラボのものだが、リックの手がけたグラフィックを2つ重ねたものとなっている

ー波を描いた絵も独特ですよね。

リック ビーチの近くに住んでいるから、波の捉え方も俺らしくなったんだと思うよ。スカルと波はずっと描いてたからね。

ー作品集の表紙にもなった「WELCOME TO VENICE」の絵はどのようにして描いたものですか?

リック 元々はヴェニスのバンドばかりを集めたコンピレーション・アルバム『Welcome To Venice』用に描いたものなんだ。それをみんなが気に入ってくれてね。アルバムの宣伝用のフライヤーにも使われたんだ。


©︎RIC CLAYTON

昨年5月に発売されたリックの作品集『Welcome to Venice』(Gingko Press/Kill Your Idols)。192ページのハードカバー

ーNo Mercyのトレードマークにもなった、スカルとベースボールキャップ、ナイフの絵は?

リック あれは描いてたら自然と出来た感じなんだ。けっこうクールだと思うよ。


©︎RIC CLAYTON

リックのバンド、No Mercyのロゴ

ードッグタウン・スケートボードのデッキとTシャツに使われた「BORN AGAIN」は?

リック 85年に描いたものだ。またリイシューされてるよ。


©︎RIC CLAYTON

ドッグタウンから出たリックのアートをスケートのデッキに落とし込んだシリーズ

ースイサイダルの「Possessed To Skate」は?

リック どうやって描いたのかわからないんだけど、描いてくうちに出来てたね。あれもまたリイシューされて出てるね。初期のスイサイダルのアイコンとなった絵だ。


©︎RIC CLAYTON

83年リリースのスイサイダル・テンデンシーズのデビュー・アルバム。ジャケットの表も裏も埋め尽くすグレン・E・フリードマン撮影のホームボーイたちのシャツは、ほとんどがリックが手描きで描いたもの

ーExcelのウィザードのロゴは?

リック あれはExcelのダンに頼まれて描いたんだ。自分でも良い出来だと思うよ。


©︎RIC CLAYTON

Excelのロゴ

ーAgainstのアルバム『Welcome To The Aftermath』になった絵もカッコいいですね。

リック あれは元々フライヤー用に描いたものなんだけど、後にアルバムのジャケットになったんだ。AgainstとNo Mercyが共演したライブで、会場はハリウッドのクラブのCathay de Grandeだった。

ー2016年には日本のバンド、Hi-STANDARDのTシャツ用にも絵を描きましたね。

リック あの絵も個人的にかなりお気に入りなんだ。日本のバンドだけど、パンクとスケートのカルチャーは同じなわけだから、俺のスタイルで描かせてもらったよ。


©︎RIC CLAYTON

AIR JAM 2016では日本のHi-STANDARDのグラフィックも手がけている

ー最近ではブランドのアートワークもやられていますよね。

リック 2015年にはFUCTとのコラボレーションをやったよ。あと、日本のBOUNTY HUNTERは俺のベネフィットのTシャツを作ってくれた。昔のフライヤーの絵を何枚も一枚のTシャツに入れたんだ。

ーリックはバイカーでもあり、タトゥー・アーティストでもありますよね。

リック バイカーもタトゥーも20年以上やってるよ。タトゥーはバンドをやめた時にすぐに始めて、自分の仕事になったんだ。タトゥーもアートだし、タトゥーを通して絵を描くことを勉強したよ。

ー今取り組んでいるものはありますか?

リック トラヴィス・バーカーが主宰するフェス、Musinkのポスターの絵を描いたばかりだ。今年はスイサイダルもライブ出演したんだ。


©︎RIC CLAYTON

トラヴィス・バーカー主宰の音楽×タトゥーのフェス、Musinkのグラフィック

ーリックにとってアートとは何でしょう?

リック アートは好きだからやってるもの。自分のやってることは大好きだから、ずっと続けてるんだ。

RIC CLAYTON Instagram: @rxcx_ric_clayton

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