米人気YouTuberのエティカが自殺、世界のゲーマーコミュニティで衝撃

エティカ名義でYouTubeで活躍していたゲーマーのダニエル・デスモンド・アモファが死体で発見された。享年29。Etika/Instagram

エティカ名義でYouTubeで活躍していたゲーマーのダニエル・デスモンド・アモファが、ニューヨークのイースト川で死体となって発見されたとニューヨーク市警が発表した。享年29歳だった。何ヶ月間も奇矯な言動や行動を繰り返したのち、若きYouTuberは自ら命を落とした。彼の死をきっかけに、ファンをはじめ世界中のゲーマーたちのコミュニティで、メンタルヘルス問題についての議論が沸騰中だ。

現地時間火曜日(2019年6月25日)、エティカ名義でYouTubeで活躍していたゲーマーのダニエル・デスモンド・アモファが、ニューヨークのイースト川で死体となって発見されたとニューヨーク市警が発表した。彼は29歳だった。

任天堂を愛するストリーマーとして大人気だったアモファが行方不明になったのは先週のことだった。姿を消す直前、彼は自殺願望を語る動画をYouTubeに投稿していた。「I’m Sorry(ごめんなさい)」というタイトルのこの動画は、YouTubeのサービス規定に違反しているとして投稿後すぐに削除された(他のユーザーによって再びYouTubeにアップロードされたが、現在もアモファのチャンネルでは視聴できない)。火曜日に彼の所持品がマンハッタン橋の近くで発見され、その後、彼の遺体がマンハッタンのイースト川から引き揚げられた。アモファの死因は自殺による溺死と当局が判断したとニューヨーク・ポスト紙は伝えている。

アモファは長い間、自身の精神面での葛藤を繰り返し口にしており、特にここ数ヶ月間の彼の言動の異様さは急速に増していた。2018年10月には、アモファがYouTubeのガイドラインに反するポルノを投稿したため、チャンネルが削除された。その直後にアモファーはRedditに「じゃあ、今度は僕が死ぬ番だ。みんな、愛しているよ。僕のために戦い続けてくれよ、わかった? 寂しくなるよ」というメッセージを投稿している。この投稿によって彼を心配する声が広がったため、アモファは謝罪文を投稿した。そこには「みんなを心配させてしまってごめんなさい。僕が自殺するかもしれないとみんなを怖がらせてごめんなさい」と書かれていた。これに続き、Twitchで同性愛嫌悪の中傷文言を使ったとしてTwitchからも閉め出された。

今年4月には、ニューヨーク市警との硬直状態をInstagramでライブ配信した。これは、アモファが意味不明の一連のツイートを投稿したあとで、市警がブルックリンにある彼のアパートに生活福利チェック(訳注:これは警察が市民の依頼によって音沙汰のなくなった家族や友人の消息・様子を調べること)にやってきたものだった。彼が銃を持って構えている写真が1枚あり、アモファはこの銃を最近ロングアイランドで購入したと言っていた。この悶着のすぐあとに彼は病院へ搬送されたと、ゲームサイトKotakuにニューヨーク市警の担当者が当時語っていた。

アモファの死は、ゲームコミュニティにおけるメンタルヘルス問題の論議を刺激した。アモファの死を受けて、アモファのsubreddit(訳注:Redditのコミュニティ)で自分のメンタルヘルス問題を共有する人があとを絶たない。加えて、彼のファンの中には、アモファの死の数ヶ月前から、彼が人々の注意を引こうと奇矯な行動を行っていると指摘する人も多数いた。去年10月のReddit投稿のあと、アモファのアカウントがハッキングされ、彼のメッセージは売名行為だとする憶測が飛び交った。そして彼の最後の動画となってしまったTwitter投稿のあとに、Twitter上でも同様の懐疑的な意見が散見された。

自殺の予知や予防が可能な信頼性の高い方法は皆無だが、ここ数ヶ月間のアモファの言動には自殺に結びつく兆候がいくつも見られると、エイプリル・フォアマン博士が言う。同博士は精神分析医で、自殺防止のエキスパートであり、米国自殺学会の役員を務めている。

「彼の行動がエスカレートしていたのは明らかです。人を遠ざけると言ってみたり、調節不全と思しきエピソードをいくつか公開していました」と、フォアマン博士が説明する。ここで博士が使う「調節不全(ディスレギュレーション)」という専門用語は、感情を上手く調節できない症状を指し、その結果として感情が爆発したり、不安定な言動になったりすると言う。そして、「彼の兆候はすべて重篤な精神疾患を示すもので、この重大さに気づいた人もいましたが、人によってはこういった奇矯な言動を面白いと感じて称賛していました。その果てにどうなかったかを知った今、本当に心が張り裂ける思いです」と続けた。

Translated by Miki Nakayama

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE