G20に出席したイヴァンカ・トランプ、世界中で大ひんしゅく

大阪で行われたG20サミットの一環として開催された女性のエンパワーメントをテーマにしたイベントでの講演後、父であるドナルド・トランプ米大統領(右から2番目)と言葉を交わすイヴァンカ・トランプ(中央) Susan Walsh/AP/Shutterstock

先日、大阪で開催されたG20サミット。その中でもひときわ浮いている場違いな人がいた。娘ということを理由に会議に出席させた、イヴァンカ・トランプだ。世界各国のリーダーたちがイヴァンカ・トランプに対して、うわべだけ礼儀正しく接しながらもいらだちを隠せぬ様子を捉えた動画が、ソーシャルメディア上に投稿され、世界中からひんしゅくの声が絶えない。

2019年6月29日夜、フランス政府がInstagram上に公開した動画には、ドナルド・トランプ米大統領の娘イヴァンカがG20サミットの会場で世界各国のリーダーたちとの会話に加わる姿が写されている。イヴァンカは父親に同行してG20サミットに参加し、女性の経済的エンパワーメントをテーマに講演を行った。

投稿された動画は、フランスのエマニュエル・マクロン大統領による社会正義についてのコメントから始まる。続いて英国のテリーザ・メイ首相が会話に加わり、経済的な見地から問題に取り組めば人々の関心がより高まる、と発言。「問題の経済的側面を取り上げればすぐに、それまで無関心だった多くの人々も耳を貸すようになるでしょう」とメイ首相は述べた。

その時イヴァンカがここぞとばかりに口を開き、国防部門はいかに男性が多数を占めているか、などという的外れな意見を述べ始めた。「さらにその状況は国防の分野だけに限りません」とイヴァンカは言う。「あらゆるビジネスの場面で完全に男性優位な状態が続いています。」



大統領の子女による発言に、IMFのクリスティーヌ・ラガルド専務理事は軽蔑の色を隠せず、明らかないらだちの表情を浮かべた。

イヴァンカがサミットに関わることは、米民主党からの批判を招いた。アレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員(民主党、ニューヨーク州)はフランス政府の動画を共有しつつ、大統領の娘によるG20サミットへの同行を批判した。「耳の痛い人もいるでしょうが、誰かの娘だからといってキャリアの資格が与えられる訳では全くありません」と彼女はTwitterに投稿した。「大統領がいい加減な対応をし、それで世界が動くとすれば、米国の外交姿勢が問われます。米国はG20を主導する大統領を必要としているのです。正規の外交官を同行していれば何の問題もなかったでしょう」

テッド・リュー下院議員(民主党、カリフォルニア州)もまた、同動画をTwitterで共有し、「この動画に対するイヴァンカ・トランプの説明を聞いてみたいですね。でもそういえば、ホワイトハウスの上級顧問を務める彼女のアカウント@IvankaTrumpから私はブロックされているのでした。誰か以下の動画を彼女へ転送し、彼女にコメントを求めてもらえませんか?」とツイートしている。

イヴァンカ・トランプがG20サミットで場違いな役を演じたのは、これが初めてではない。2017年のサミット時、中国国家主席、トルコ大統領、ロシア大統領、英国首相、ドイツ首相らによる会議中に、彼女は席を外した父親に代わってテーブルに着き、その行動は批判を呼んだ。マキシン・ウォーターズ下院議員(民主党、カリフォルニア州)は当時、「彼女が席に着くのは筋違い。G20サミットには合衆国大統領が自由主義諸国のリーダーとして参加しているのです。彼は政治の場を利用して自分の娘を公の場に引き出し、何の知識もない彼女を重要な会議に参加させようとしています。彼女は、参加している国々の代表といかなる交渉もできません。彼女は話し合われる問題に関して全く理解していないのです」と述べている。

共有された動画を見る限り、ウォーターズ議員による当時のコメントは今なお通用するようだ。

Translated by Smokva Tokyo

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