BABYMETALライブレポ「新章を告げる生命力とピュアネス」

初お披露目となった新曲群

この日のライブでは「Elevator Girl」や「Distortion」「Starlight」といった、昨年から今年にかけて発表された楽曲も多く披露されたが、その中でも初お披露目となった新曲群は特に印象に残った。この日は2曲の新曲が用意され、オープニングに披露されたものは従来のBABYMETALらしさを踏襲したメタルナンバーだったが、もう1曲はインドや中東を思わせるメロディ&フレージングが耳に残るダンサブルな楽曲。ザクザクと刻まれるギターリフと力強いビート、そこに重なる妖艶なメロディ&ダンスはBABYMETALにとって新境地といえるもので、ライブにおける大きなフックになったことは間違いない。こちらも今後のライブで重要な役割を果たす1曲になるはずだ。



同じ意味で、ライブ初日の6月28日にデジタルリリースされた最新ナンバー「PA PA YA!! (feat. F.HERO)」もライブにおけるキラーチューンと言えるだろう。発表から間もないものの、観客は手にしたタオルを頭上でくるくる回すなど、従来のナンバーと同様に受け入れ、1万5000人が集まった横浜アリーナは一瞬にして巨大なダンスフロアと化した。この曲ではレコーディングにも参加したタイの人気ラッパーF.HEROもゲスト参加。このサプライズにも熱狂的な声援が送られた。



「ギミチョコ!!」「KARATE」と代表曲が次々に繰り出されると、ライブもいよいよ佳境へ。短いインストゥルメンタルナンバーを挟んで始まった「THE ONE」ではピアノ伴奏に合わせ、マントを着用したSU-METALが透き通るような歌声を響き渡らせる。ここ数年の経験の成果が凝縮されたようなこの曲での歌唱、そして暗闇の中を差す光が作り上げる神々しい情景を前に、会場は水を打ったように静まり返る。曲後半でバンド演奏が加わり、MOAMETALとダンサーがSU-METALの横に立ち、曲のクライマックスに合わせてメンバー、観客ともに“フォックスサイン”を掲げる。





いよいよライブも終了が近づいてきた。聴き覚えのあるSEに合わせて場内が真っ赤な照明で染め上げられると、BABYMETALのロゴが入ったフラッグを掲げた3人が登場。オーディエンスは盛大なハンドクラップで興奮を高めていくと、SU-METALは“ウォール・オブ・デス”を促すようなアクションで観客を煽る。こうしてラストナンバー「Road of Resistance」に突入すると、フロアには無数ものサークルモッシュが発生。SU-METAL、MOAMETAL、そしてダンサーの3人はライブ序盤と変わらぬパワフルな歌とパフォーマンスで会場の熱量を高めていく。曲後半のシンガロングパートではSU-METALが「もっと!」と叫び、その歌声はより大きくなっていった……昨年の“DARK SIDE”で試した実験を経てたどり着いたこの日の光景は感動的ですらあり、気づけば自然と涙腺が緩んでいた。大袈裟と思われるかもしれないが、それほどに今回のライブは生命力に満ちたピュアな空間だったのだ。

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