LiSAが「紅蓮華」で示した使命とロックシンガーとしての矜持

LiSA(Courtesy of SACRA MUSIC)

LiSAがTVアニメ『鬼滅の刃』の主題歌「紅蓮華」をSGリリースした。前回登場したときはブリング・ミー・ザ・ホライズンのアルバムについて話を聞いたが、今回は彼女の「これまで」と「これから」に迫った。

今回のインタビューは、ロックシンガーかアニソンシンガーか――LiSAは自らをどう捉えているのか、というのが自分のなかでのポイントのひとつだったのだが、話はそんなに単純なものではなく、そこにLiSAならではのアティテュードがあることが明らかになった。今、LiSAという存在が気になっている人にこそ読んでもらいたい。

―前回、ブリング・ミー・ザ・ホライズンの新作『amo』についてお話を聞きましたけど、その反応を検索してみたら、「ああ、LiSAもブリングミー聴くんだー!」とか「一気に好感度上がった」とか書かれてて、LiSAさんっていったいどういうイメージで見られてるんだろうと思って。

さっき、中国の番組のインタビューがあって中国の方とお話したんですけど、その方は中国から日本に来て、こっちで私のことを知ったらしくて。しかもアニメを通してではなくて、カラオケ屋さんで私の曲が流れてきたのがきっかけで好きになってくれたそうで。

―LiSAさんはロックシンガーとしての地位を確立すると同時に、サウンドの定義がないアニソンシンガーという呼ばれ方もするわけじゃないですか。その辺りに関してはどういうふうに捉えているんですか?

基本的に呼び方は感じた人のものだと思っているので、自分としてはそんなにこだわってなくて。私自身、自分の好きなものだったり、やってることを言語化するのが得意ではないんですよ。だから、アヴリル・ラヴィーンが好き、パラモアが好き、ミシェル・ブランチが好き、ブリングミーが好き、グリーン・デイが好き、みたいなものを総じてなんて言うのか人に聞いて「ロックだよ」って言われれば、「なるほど! じゃあ、私が好きなのはロックなんですね!」みたいな感じです(笑)。

―なるほど(笑)。

なので、自分がやってることに対して人が「アニメソングだよ」って言うなら、もちろんアニメの曲をたくさんやってるし、そういった作品に沿ったものを作ってるから「そうですよね、アニメですよね」って思います。だから、どう呼ばれてもこっちから訂正するつもりもないというか。

―じゃあ、LiSAさんはロックの初期衝動感だったり精神的なものにヤラれたというよりも、ロックのサウンド的なところから影響を受けた部分が大きいんでしょうか。

そうですね。ただ、精神的なものかどうかはわからないんですけど、アブリルを好きになったのは、女の子がロックをやっていて、舌を出してパンツを履いて走り回って、男の子たちと対等に遊んでる姿に魅力を感じたからだと思うんですね。だから、それが精神的なものと言われるなら多分そうだと思います。

―アブリルの姿に自分と近いものを感じたと。

一方、アニメに関しては、アニメと関わることが決まったときに、「自分にできることがここにあるのかな?」って思いながら探ってたところがあるんです。でも、最初の作品がアニメのキャラクターがバンドをするというもの(「Angel Beats!」)で、それなら私にもわかるし、できるって思ったんです。

―そうだったんですね。作中のバンドとして関わり始めたというのが、LiSAさんにとってアニメへの入り方としてよかったのかもしれないですね。

そのおかげもあって、自分がやるべきこと、できることがすんなり見つけられたと思います。

―やってみてどうでしたか?

まず、「アニメを作る人ってこんなにたくさんいるんだ!」っていうことを初めて知りました。音楽を作る人、絵を描く人、コンテを描く人、原作の人……そういう人たちが「打ち入り」っていう、作品をつくり始める前に開く交流会のようなものに集まって、そのときに作品のプロデューサーの方が「昔からこの原作の方とずっとやりたかったんだ!」って熱く語られていたり、絵を描く人たちも「この人のゲームがなかったら僕たちはこの業界に入ってません!」みたいな話をしていて。そういうのを見て、「誰かの夢が叶う瞬間に私もかかわらせてもらえるんだな」って思ったんです。「ひとつの作品にこんなにも愛情を注ぐ場所があるんだ、バンドと一緒だな。じゃあ、私も精一杯できることをやろう」と。

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