エド・シーラン盗作訴訟の行方は、ツェッペリンの裁判次第

エド・シーランの著作権侵害裁判は、レッド・ツェッペリンに対する同様の裁判の評決が出るまで保留とされた。(Photo by David Fisher/Shutterstock)

音楽界で一二を争う話題の裁判ネタといえば、エド・シーランとレッド・ツェッペリンが訴えられている著作権侵害訴訟だ。そして今、前者の行方は後者の結果にゆだねられることになった。

マンハッタンの判事は今週、エド・シーランの「シンキング・アウト・ラウド」に対する訴訟に関し、9月に予定されていた陪審裁判を中止し、レッド・ツェッペリンの「天国への階段」に対する裁判の判決を待つと発表した。

2016年、エド・タウンゼントの遺族はエド・シーランの2014年の楽曲「シンキング・アウト・ラウド」が、タウンゼントが共作したマーヴィン・ゲイの1973年の楽曲「レッツ・ゲット・イット・オン」の主要なメロディ進行やリズムパートを借用したとして、エド・シーランを訴えた。一方レッド・ツェッペリンは、かの有名な「天国への階段」のオープニングがスピリットの1968年の楽曲「タウルス」をパクったとしてカリフォルニアのバンドから訴えられ、もう何年も泥沼化している。2件の裁判に共通する人物はいないものの、注目度に加え、訴状内容と時系列の類似性から審理保留にいたった。

法律専門誌Law360によると、タウンゼント対シーラン裁判を担当するルイス・スタトン判事は今週、両当事者とも「夏休みをとるべき」として、スピリット対ツェッペリン裁判の判決後に審議を再開すると述べた。もし「天国への階段」が――何年も判決が覆った後、9月に再審議が予定されている――アメリカ合衆国最高裁判所に上告されるようなことにでもなれば、「シンキング・アウト・ラウド」裁判も2020年まで延期されることになる。

音楽盗作裁判は何かとやっかいで、何年も争われることも多い。場合によっては独断的な判決が下ることもある。2018年にはロビン・シックとファレル・ウィリアムスが2013年の楽曲「ブラード・ラインズ」をめぐって、マーヴィン・ゲイの遺産管財人に約500万ドルの和解金を支払わねばならなかった。他にも有名な楽曲に対する盗作裁判は小規模ながら何度となく起こされているが、どれも不発に終わっている。スピリット対ツェッペリン裁判も、3年前の陪審評決で決着するはずだった(だが控訴された後、高等裁判所は先の陪審の判決が著作権法を「誤解していた」と判断した)。

とどのつまり、現時点で「シンキング・アウト・ラウド」が迎える結末はゴマンとある。ちなみにシーランは2017年、別のヒット曲「フォトグラフ」をめぐる裁判で和解に応じている。

Translated by Akiko Kato

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE