U2、1981年『ボーイ』ツアーのライブ映像を回想

1981年、U2

先日、ファンによってバンド史上最古のライブ音源の発掘が話題となったU2。今年後半、13年ぶりの来日決定を記念し、初の本格的アメリカツアーの模様が収録された貴重なライブ映像を振り返る。

今月初旬、U2の熱心なファンたちによって、1979年8月にダブリンのDandelion Marketで行われたバンドの最初期のライブ音源(オーディエンスによるアマチュア録音)が発掘された。現存する中で最古のものとされ、バンドの歴史における重要素材となったそのライヴ音源には、「アウト・オブ・コントロール」や「ストーリーズ・フォー・ボーイズ」の原型だけでなく、「In Your Hand」「Concentration Cramp」という2つの未発表曲が収録されていた。

その音源で耳にできる何曲かは、1980年10月に発売されたデビューアルバム『ボーイ』に収録されている。アルバムのプロモーションとして同年12月に小規模なアメリカツアーを行ったU2は、翌年3月にはあらゆる都市を巡る全米ツアーを開催した。ここで紹介する「アウト・オブ・コントロール」のライブ映像は、1981年5月15日に行われたサンフランシスコのCalifornia Hall公演のもので、プロのクルーによって撮影されている。彼らのコンサートにおける当時のレパートリーは限られており、アンコールに応じてステージに戻ってきたバンドは、本編で既に披露していた「アイ・ウィル・フォロー」「ジ・オーシャン」「11オクロック・ティック・タック」を再び演奏した。
 
California Hallではその週、アイルランドとイングランドのバンドによるコンサートが他にも開催されていた。U2のショーの前日にはスプリット・エンズが出演しており、その前日には約1年後に「アワ・ハウス」でブレイクを果たすマッドネスが公演を行っていた。U2のライブで前座を務めた地元のバンドRomeo Voidは、ほどなくして「Never Say Never」をヒットさせている。

今ではすっかり過去のバンドとなったスプリット・エンズとRomeo Voidとは異なり、U2は今もシーンの最前線で活動を続けている。バンドは今年後半、ニュージーランド、オーストラリア、シンガポール、日本、韓国の5カ国で、「ヨシュア・トゥリー」のアニバーサリーツアーを行う。Dandelion MarketやCalifornia Hallでのコンサートから約40年、名実ともに世界屈指のバンドとなったU2はどのようなショーを披露するのだろうか。

Translated by Masaaki Yoshida

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