グライムスが語る、剣術やアイソレーションタンク駆使する独自のフィットネス論

グライムス(Photographs used in illustration: Vivien Killilea/Getty Images; Shutterstock)



その3:午後はトレーナーのジェームズ・リューと一緒に1〜2時間、剣術の稽古をする。内腹斜筋や体幹、上腕三頭筋を鍛える基礎的運動をみっちりやって、殺陣も少々。

ジェームズ・リュー氏はマーシャルアーツをたしなむ役者兼トレーナー。『ラッシュアワー』や『バフィー~恋する十字架~』『ルーク・ケイジ』等に出演し、アクション・シーンの構成も担当した。『トロイ』ではブラッド・ピットに剣術を教えたこともある。リュー氏自身は個人レッスンをおおっぴらに宣伝しているわけではなさそうだが、彼のInstagramによると、マーシャルアーツの実演やグループレッスンを行っているようだ。またワークアウト用ビデオを2本、著書を1冊出版しており、いずれもストレッチやキックに重点をおいている。グライムスのほぼすべてのビデオで剣が登場することからも、彼女が日々剣術に励んでいるのもうなずける。



その4:そのあと仕上げに、時速4〜4.5マイル(時速6~7.5km)で30〜45分間、傾斜をつけてトレッドミルをする。間違いなくこれが一番効果的なワークアウトよ。


大事なのは、何を目的として運動しているかということなのだ。傾斜をつけたトレッドミルをするのも――速度を限定していることから、彼女が言わんとしているポイントはここだと思われる――は、「もっとも効果的なワークアウト」の上位には入らないし、少なくともそれだけでは効果がない。もっとも効果的なのは高強度インターバルトレーニング(HIIT)。「少ない時間で最大のエクササイズ効果を約束する」最先端のエクササイズだ。だとしても、HIITはカロリー燃焼に効率的であるというだけで、必ずしも、長時間かけた運動より効果的に減量できるというわけではない。

それでも30〜40分間、傾斜をつけてのトレッドミルは心肺運動を取り入れるという点では悪くない。個人的には、2時間剣術をした後の「仕上げ」としては、ハードではあるものの、なかなかいいアイデアだと思う。

その5:それから45分間かけてストレッチして、そのあとスタジオに入ると心身ともに最高潮の状態になっているの。神経可塑目標値はだいたいAphC 57.5~71.5ぐらいね(私の血液型には、このぐらいの範囲がいいみたい)。

厳密にいうとこれはグライムス流フィットネス法には含まれないが、ここでの主張は非常に怪しいので検証しておくことにした。重ねて言うが、私は分子生物学者ではないので、「AphC」とは何を意味するのかググってみた。一番上に挙がった検索結果はAppaloosa Horse Club(アパルーサ種という馬の品種を管理する団体)だった。そこで「AphC 生物学」で検索をかけたが、最初に挙がったのはアパルーサ種に関するWikipediaのページ。「AphC 分子」で検索したところ、5-APHCと呼ばれる分子構造を示す謎のサイトが出てきたが、その次はやっぱりアパルーザ種の馬の血統に関するページだった。

アパルーザ種にひっかからずに「AphC」の略語を検索するのはかなり至難の業だ。生物学関連と思われるサイトも、私の文系脳ではほぼ理解不能。だがここで大事なのは、AphCは人間の健康とはまるで結びつかないという点だ。ましてや、一般人レベルでそれを説明しているものは皆無に等しい。「神経可塑 AphC」で検索すると、グライムスのフィットネスを取り上げた別の投稿が出てくるだけ。なので、これに関しては眉唾モノとしておくのが無難だろう。

その6:スタジオにはいちばん明度の高い、赤い照明を入れてるの。さながら1000平方フィートの遠赤外線サウナ、ってとこかしらね。

遠赤外線サウナは、82℃前後で行う従来のサウナよりもかなり低い温度帯(48~60℃)で行われる。熱源は赤外線ランプで、人体に直接照射して、痛みの緩和や解毒を促す。問題は、グライムスがどれだけ長くサウナ兼スタジオに入っているのか? ふつう遠赤外線サウナにはタイマーが付いていて、30分以上入ってはいけないことになっている。サウナ仕様のヴォーカル・ブース? それともサウナが別に併設されている? はたまたスタジオ全体がサウナなのか? サウナの脱水効果を考えると、とくに次のステップの準備としては、声帯にはあまりよくなさそうだ。

Translated by Akiko Kato

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