米・オーディオ機器小売が好調、スマートスピーカーやヘッドフォンが牽引

2019年7月10日、ニューヨークのハマースタイン・ボールルームで行われたニューヨーク・アマゾン・ミュージック・プライム・デイ2019でパフォーマンスするテイラー・スウィフト。(Evan Agostini/Invision/AP/Shutterstock)

全米民生技術協会の今年度の中間報告書で、スマートスピーカーや小型ワイヤレスイヤホンなどのオーディオ機器の小売利益が、今年は約43兆3900億円見込まれていると発表された。

音楽配信サービスは相変わらずの上り調子だが、音楽配信関連商品の小売業はそれ以上の好景気が続くと、全米民生技術協会(CTA)が予測している。CTAとは2000社以上のアメリカ企業を代表する業界団体で、現地時間7月15日に発表された今年度の中間報告書は、年末までにアメリカ国内の民生技術系市場の売り上げは4010億ドル(約43兆3900億円)に達する見込みだという、非常に楽観的なものだ。この売り上げの伸びを牽引するのが、スマートスピーカーや小型ワイヤレスイヤホンなどのオーディオ機器だ。

アマゾン・エコー、Appleホームポッド、Googleホーム始め、多くのメーカーから発売されているスマートスピーカーの2019年度の収益は30億ドル(約3240億円/2018年度の1%減))で安定していると予測される一方で、小型のワイヤレスイヤホンの今年の収益は最高で20億ドル(約2160億円)が予想される(2018年度の46%増)。ヘッドフォン市場の小型ワイヤレスイヤホン部門はAppleのAirPodsやBeatsのPowerbeats Proなどの人気が高く進化し続ける製品によって牽引されており、今年度は1600万個を売り上げることが期待されている。この販売総数は前年度の45%増だ。さらに、ワイヤレスヘッドフォン部門の収益は今後数年間で二桁成長が見込まれるとCTAは睨んでいる。この根拠となるのは、最高位機種のオーディオクオリティや本物のワイヤレステクノロジーといった「高品質の技術体験」を望む消費者が増え続けることだ。

物理的なオーディオ製品の人気が高まっているため、クラウドベースのサブスクリプションサービスの人気、特にオンデマンドの音楽配信サービスの人気にも拍車がかかっていると、CTAの報告書に記載されている。「過去のCTAの調査によって、アメリカ国内の消費者のうち1億1500万人が先端技術オーディオのファンや感情に訴える音楽の愛好者だと判明している。つまり、アメリカ国内にはまだ何百億人という未来のサブスクライバーが隠れていることになる。オーディオクオリティ、独占コンテンツ、動画配信サービスとの提携など、今後もそれぞれの独自性を模索する配信サービス企業から目を離してはいけない」ということだ。

また、報告書の作成者たちは、オーディオ・プログラミングが全方向へと拡張しつつある配信サービスにも注目している。曰く、「現在は音楽が唯一の娯楽コンテンツではなく、サービス提供者たちはオーディオブック、ポッドキャストなどもオーディオ商品として提供している。この市場が成熟することによって、サブスクライバーが複数のアカウントを保持できるお得なファミリー・プランに移行することが予想される。そうなると、ユーザー当たりの平均収益が押し下げられる可能性が高い」と。しかし、2019年が終わるまでにアメリカの消費者が音楽配信サービスに費やす金額は、33%増の84億ドル(約9100億円)まで急上昇するとTCAは見込んでいる。

Translated by Miki Nakayama

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE