ジャック・ホワイトが語る、ザ・ラカンターズ再結成からディランとの交流まで

ー「Don’t Bother Me」における「偽物のパンクジャケットを着たホラ吹き野郎」というフレーズは、あなたが残した最高のラインのひとつです。

あれは耳に残るよな。名詞を無理やり動詞にしようとしてるような感じだね。

ー あの曲(「鏡を見つめるお前 / お前は誰よりも自分を崇拝している」という歌詞が登場する)にはどういった意味が込められているのでしょう?

攻撃的衝動だね。煮えたぎるような思いの矛先を向ける対象を、意図的に作り上げた。世の中には自分のことばかり書こうとする不遜な人間もいるけど、俺は架空のキャラクターを生み出し、自分の人生の一部と置き換えるようなやり方が好きなんだ。

ホワイト・ストライプスでもものすごく攻撃的な曲を書いたことがあるよ。何て曲だったかな…(しばし沈黙)「There’s No Home for You Here」だ。デトロイトのシーンで知り合ったある若者に対する俺の強烈な攻撃的衝動を表した曲なんだけど、曖昧にするために登場人物を女性に変えてあるんだ。

そういったアプローチを取るのは、自分がそういう感情に永遠に囚われ続けないようにするためだ。自分以外の人間の視点でその対象と向き合うっていうのは、他の誰かが書いた曲をカヴァーするような感じなんだ。

ー グレタ・ヴァン・フリートについてはいかがですか? 以前のあなたがそうだったように、彼らは過去のブルースやロックのアーティストを模倣していると頻繁に揶揄されています。

あのポーランド系の3兄弟はミシガンのフランケンマスの出身なんだけど、最初はジョークかと思った。でも若い人間がロックンロールをやってるってのは、やっぱり見てて気持ちがいいよ。ヴォーカルはいい声をしてるしね。よりオリジナルになれればベターではあるけどさ。俺がデビューしたての頃、「あいつはロバート・プラントそっくりだ」ってよく言われたよ。自分のすべきことをやり続けていれば、そういう雑音はやがて消えるさ。

ー 先ほどブラック・キーズの名前も挙がりました。あなたのレーベルはTwitterで彼らの新曲を賞賛していましたが、過去におけるあなた方の対立ぶりを考えればとても意外でした。確執は解消されたのでしょうか?

俺はすべてのロックンローラーに敬意を表してる。あれ(彼らとのビーフ)は代理人ぶった人間が互いの発言の真意を捻じ曲げたりして、俺たちを焚きつけたようとしてただけなんだよ。パトリック・カーニーはラカンターズの新作のレコーディングを覗きに来たし、親切にマイクを貸してくれたよ。

Translated by Masaaki Yoshida

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