フジロック現地レポ ELLEGARDENの「物語」は終わらない

「11年間、フジロックのステージにまた立つんだと毎日思ってた」

特別な場所に帰ってきたという想いを噛み締めながら披露されたのは「The Autumn Song」。細美の歌声と生形のコーラスによるハモリは、ブリンク182のマーク&トムのハモリを連想させる絶妙な相性。味わい深いメロディを緊張感のある演奏で聴かせてくれる。ウィーザーを彷彿とさせる「Middle Of Nowhere」はドラマティックな響きが印象的。展開に派手さはないものの、そのぶん細美の歌に吸い寄せられる。そして10曲目は「金星」。ミドルテンポの重厚なサウンドで、皆で肩を組んでシンガロングしたくなるようなムードに拳を握りしめて熱くなる。



ここで細美のMCが。
「このフジロックの今日のステージが決まってから、きっと人生最高の一日がまた更新されるんだなと思って、ずっと楽しみにしてて。ステージの1秒1秒がバッと過ぎないように、噛み締めて楽しみたいと思ってたんだけどさ、すごい迷ってんの。飲むべきか、飲まざるべきか。ウブ(生形)はまたここでやれるとは思ってなかった、高橋はまたこんな光景を見れるとは思ってなかったと言ってたけど、休止の直前、フジロックに(ELLEGARDENで)出てーー雷雨の時にさ、このステージ(GREEN STAGE)に出る人だけが渡れる川があるんだよ。小さな木の橋があって。俺はその橋を逆側に向かって渡りながら、絶対この橋をもう一回自分のバンドで渡るって11年間毎日思ってたから。そういう物語ってみんなに関係ないかもしれないけど、俺にとっては今日夢が叶ったわけよ。そう考えると俺たちの人生も大したもんだったなって気もするし、もう上出来だ、何も文句はねぇよって思うんだけど、せっかく時計の針がまた動き出したんで、これから先はガキの頃には思いつかなかったような新しい夢を一緒に見ましょう」

そう話し終わると「行こうぜフジロック!」という掛け声とともに始まったのは「Red Hot」。リズミカルなギターリフで疾走し、サビに向かってテンションがどんどん高まっていく。続けて披露されたのは「ジターバグ」。冒頭の歌い出しで一瞬にして持っていかれる。<一切の情熱がかき消されそうなときには/いつだって君の声がこの暗闇を/切り裂いてくれる>の歌詞が力強いメロディとともに響いてくる。「No.13」の後に披露したのは「Salamander」。ヒリヒリしたギターと鋭さを兼ね備えた躍動感のあるビート。彼らならではのグルーヴ感で“うねり”を作り上げる。15曲目は「虹」。静と動を大きく行き来するダイナミックな曲。中盤にアクセントとして入る生形のギターソロも効いている。

細美切り口で語るなら、彼が現在活動している別バンドのthe HIATUS、MONOEYESとはまた異なる面白さが、ELLEGARDENの音楽にはある。細美の奔放なヴォーカル、生形の攻撃的なギター、高田のタイトなベース、高橋のパワフルなドラム。いい意味でのラフさを兼ね備えた緩急自在な演奏は、ELLEGARDENが鳴らすロックの真骨頂と言えるだろう。

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