INORANが語る音楽人としてのアイデンティティ「常にドアを開いていたい」

スティーブ・リリーホワイトとの出会いで学んだこととは?

―意外だったのがリード曲「Starlight」。この静かめの曲をリードにしたのはINORANさんの意向ですか?

そうですね。作っている途中でこの曲リード曲がいいなって思って。

―それは何故?

曲が持つオーラだったりとかなんだけど、言葉にするのは難しいなぁ。自分の中でこの曲が引っかかったんで、これで行こうと。

―「Starlight」はアコースティックアレンジでしかも弦楽器が入っていて、美しく壮大な曲です。で、12月に発売予定のLUNA SEAのニューアルバムにはあのスティーブ・リリーホワイト氏(U2、ピター・ガブリエル、ストーンズをプロデュース)がプロデューサーで参加しているというアナウンスがされていて、この曲を聴くとスティーブ氏との制作がソロにも影響もあったのかなって感じます。

それはもちろんあります。スティーブはプロとしてものすごい人だけど、とってもフランクなんです。普通の会話で、ムードを作り上げる人、緩やかで明るいムードメーカー。でも、そういう中でも凄い話をするし。なにせ、スティーブは音に惚れてるんですよね。音色じゃなくて音に。その惚れ方にリスペクトを抱いてしまうんですよ。スティーブの経歴はもちろん凄いけど、音に惚れるところが俺とはすごく合う部分だと自負しているし、そういう部分の影響を改めて受けたし。もちろん人生の中で交わったんで、それ以外の部分もいろいろと作用はしていると思います。この間、彼の家に遊びに行ったんだけど、俺のソロアルバム『Thank you』が飾ってあって、その横にグラミーのトロフィーがあったりしてさ、何か嬉しくて。俺が来るから飾ったのかもしれないけど(笑)。

―LUNA SEAとスティーブ氏を引き合わせたのはINORANさんと聞いていますが、そもそもスティーブ氏との出会いは?

共通の知人がいたんです、カナダ人の。その人にスティーブの初来日の時に『会わない? 興味ある?』って言われて、『会う!』って言って。その時は彼が滞在するホテルのロビーで会って話をして。その後俺がバンコクにツアーで行った時に、バンコクまで遊びに来てくれて、しかもライブまで観に来てくれたんです。そこからですね。

―INORANさんの一期一会を大切にする感じ、フットワークの軽さはいつも驚かされます。

俺のこういう振る舞い方というか、人との接し方、ミュージシャン同士の接し方はFEEDERのTAKAが教えてくれたんですよ。TAKAとMuddy Apesをやってたのは大きいなぁ。TAKAは海外で活動してるから、ミュージシャンと接する時に、とにかくフラットなんですよ。やっぱり、構えるとなかなか友情は芽生えない。もっと手っ取り早く、相手に飛び込めばいいんですよ、だって垣根なんてないんだから。スティーブはもちろん凄い人だけど、だからってずっと敬語で話していたらおかしいじゃん。そういう部分で俺がすごいフランクにスティーブとも接することが出来たのがよかったのかもしれないですね。

―INORANさんが先に踏み込んで、相手も踏み込んで来てくれる。

やっぱり一緒に作るってそういうことだから。ザ・お仕事になっちゃうと、クリエイティブにはなれないと思うんです。そんなのお互い過去にいくらでもやってきてるし、でもそういうところじゃない関わり合いを今求めてるわけなので。それは規模は違うけどソロでもそういうことはしたいし。それで言うと、『2019』にはFEEDERのグラントも参加してくれてます、3曲目の「You’ll see」に。

―そうなんですね! でも考えてみたら、周りが難しくしてるだけで本当はミュージシャン同士、まったく垣根なんかないんですもんね。

有名とか無名とかじゃなく、Muddy Apesも海外に行くと、いろんなミュージシャンがノリで来てくれてノリで演奏してくれるんですよ。ノリがすごく大事だし、ヴァイブスが大事なんですよ。というより、音楽ってそこなんで。だから皆に参加してもらいたい。そのヴァイブスが足し算じゃなくて掛け算になって、倍になっていくわけで。そこも音楽の醍醐味だと思っています。

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