ラムシュタイン、ロシア公演中に反LGBTQ法にキスで抗議

ロシア・モスクワのルジニキ・スタジアム公演で反LGBTQ法にキスで抗議した独・ラムシュタインのギタリスト、パウル・ランダースとリヒャルト・Z・クルスペ

ロシア大統領ウラジミール・プーチンの手によって2013年に成立した「同性愛プロパガンダ法」。ロシア公演で、このLGBTQ法への抗議として、ドイツのロックバンドのラムシュタインのギタリスト、パウル・ランダースとリヒャルト・Z・クルスペはキスを交わした。

挑発的な音楽でありながらドイツで最も成功したロックバンド、ラムシュタインが10年ぶりに発表した、最新アルバム『Rammstein』を引っさげてツアー中だ。ロシア・モスクワのルジニキ・スタジアム公演では、定番の花火演出の一つとして、いつもと違う種類の火遊びを披露した。メタリックなボディペイントという出で立ちのギタリスト、パウル・ランダースとリヒャルト・Z・クルスペは、アルバム収録曲「Ausländer/アウスレンダー(異邦人)」を演奏中に、歩み寄ってつかの間のキスを交わしたのである。このキスはロシアの反LGBTQ法に反対する直接的な抗議だ(上の動画で二人がキスを交わすのは4:55あたり)。

ロシア大統領ウラジミール・プーチンの手によって2013年に成立した「同性愛プロパガンダ法」では、「伝統的な性的関係と非伝統的な性的関係が同等の社会的価値を持つという歪んだ考え」を支持するものはすべて禁止されている。アムネスティ・インターナショナル、ヒューマン・ライツ・ウォッチなどの人権擁護団体が非難しているのだが、公共の場で同性愛やジェンダーノンコンフォーミティ(訳注:旧来の性的な固定概念に合致しないこと)を表現することを違法として禁じるのがこの法律だ。最近では、この法律の影響でエルトン・ジョンの自伝映画『ロケットマン』の一部が編集されたことを知ったジョン自身が、プーチンに向けて抗議の手紙をしたためている。

この法案がロシアの立法府を通過して以降、ロシア国内の同性愛嫌悪の暴力事件が増加している。事実、ラムシュタインのこのキスの1ヵ月前には、セントペテルスブルグでLGBTQ活動家イレーナ・グリゴリヤヴァが無残に殺害された。彼女の名前はロシアのあるウェブサイトのリストに載っていたのだが、これはゲイやその支援者の「狩り」に賞金を出すというサイトである。

この同性愛プロパガンダ法はロシア人以外の外国人にも適用され、この罪で逮捕されると最長15日間の拘留または最高5000ルーブル(約8600円)の罰金を課せられたのちに、国外追放となる。この公演後にラムシュタインが逮捕されたかどうかは定かではないが、バンドは7月30日に「ロシア、愛しているぜ!」とInstagramに投稿している。

ラムシュタインがLGBTQコミュニティへの支援を表明したのはこれが初めてではない。ポーランドでのコンサートでは、フロントマンのティル・リンデマンが空気式ゴムボートに乗ってクラウドサーフィング中に、レインボウフラッグを振った姿が目撃されている。

ラムシュタインのセントペテルスブルグでのスタジアム公演は今週金曜日の8月2日まで続く。

Translated by Miki Nakayama

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