ビリー・アイリッシュ表紙秘話 女性ポップスターへの期待を「粉砕」したフォトグラファー

ビリー・アイリッシュとペトラ・コリンズの出会い

ペトラ・コリンズが初めてビリー・アイリッシュに遭遇したのは、カルバン・クラインのキャンペーンだった。

「彼女は、自分にとっての服について話していた。服は盾のようなものだって」と、写真家兼映画監督兼アーティストは語った。映像の中でアイリッシュは、ぶかぶかの服を着るのは自分の身体――や見た目――で騒がれたくないからだと説明していた。

「それで興味を持ったの。ティーンエイジャーの頃の自分や、写真家としての原点を思い出したわ」と言うコリンズは、自らもモデルをしていた経験がある。彼女の作品の大半は音楽業界とは無縁だが、最近ではセレーナ・コメスからメアリー・J・ブライジなど、さまざまな面々と仕事をしている。「彼女に安心感を覚える若者が大勢いるってことがわかったの。それってすごくクールよね」


ビリー・アイリッシュとペトラ・コリンズ(Photo by Moni Haworth)

新星ポップスターのローリングストーン初表紙の撮影に、編集部はコリンズに白羽の矢を立てた。ホラー映画好きだった2人はたちまち意気投合。何よりも、近年のいかにもローリングストーンらしい表紙とは正反対のことをしたい、という意見で一致した。

「これまで表紙を飾った若い女性はたくさんいる。だから私は『ブリトニー・スピアーズの表紙とはまったく正反対のことをしたい』って言ったの」と写真家は説明した。彼女がここで言うのは、1999年にデヴィッド・ラシャペルが撮影した表紙のこと。ランジェリー姿の17歳のスピアーズが紫色のテレタビー、ティンキー・ウィキーを抱えてベッドに横たわっているものだ。見開きページに関しても、アイリッシュは同じような意見を主張した。

「彼女は『自分の身体とかを全面に出すようなのはやめて』って言ったわ」とコリンズは振り返る。「悲しいかな、話題にしてもらわなきゃいけないのよ。でも私は言ったの、『そうね、ブリトニー・スピアーズの表紙とはまるきり正反対のことをしましょう。1人の人間としてのあなたを撮ろうじゃない』って」

Translated by Akiko Kato

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