ハードロックの栄枯盛衰を乗り越えた男が語りつくす、愛と憎しみの30年間

ガンズ・アンド・ローゼズの再結成から学んだこととは?

―それはどういう意味ですか? いい加減に十分な時間が経過したのでは? 回想録で彼らを中傷したとか、金銭面で彼らを除外したとかではないのに。

たぶん、連中は支配欲が強いんだと思う。気づいていると思うけど、新しいヴォーカルを入れたよね? 2〜3年前だっけ? でも、このヴォーカルは一度もインタビューを受けていない。ほら、連中が俺を嫌いな理由がわかるよね。俺がいたらインタビューしちゃうからね。つまりだ、連中はすべての注目を集めるリード・ヴォーカルがいると不愉快だってこと。君の雑誌でも同じだよ。俺が表紙に載ると連中は不快に思うわけだ(上記のバックの発言を聞いたボランは現在のスキッド・ロウのヴォーカリスト、ZPサートについて「う〜ん、ZPはインタビューをしているし、かなり注目を集めている。このバンドに参加したときのZPはすでに名声があったし、ファンベースもできていた。現在のバズへの注目はどれもスキッド・ロウ由来じゃない。そもそも彼のキャリアになんて関心がない」と反論している)。

―スキッド・ロウを常にチェックしているのですか? 自分が抜けてから彼らのライブを見たことはありますか?

一度だけYouTubeで見たよ。2人くらい前のリード・ヴォーカルのとき。「I Remember You」って書いてあったから、自分のバンドだと思ってクリックして見た。そしたら「これは一体?……うわっ、マジかよ」って。

―ほら、ガンズ・アンド・ローゼズの再結成なんて誰も実現しないと思っていたし、再結成がこれほど長く続くなんて予想外もいいところです。あなたはガンズと仲が良いんですよね。再結成に関して、彼らから何か学んだことはありますか?

あるよ。それはだな、誰に対しても公に中傷しちゃいけないってこと。特に今のようなネット社会だと、メディアは好きな言葉を勝手に取り上げて、それをヘッドラインにする。そのせいで、何もしなくても俺たちは常にトラブルに陥っちまう。ロックバンドに関していえば、今は対立がロック文化の主流のような気がするよ。俺がガキの頃に、例えば「デイヴ・リー・ロスがこいつの悪口を言った」みたいな記事は一度も呼んだことがない。つまり、そういうことと音楽がどう関係しているんだ?ってこと。無関係だろ。歳を取るにつれて「言わぬが花」と思うようになった。インターネットから出来る限り距離を置いているよ。だって俺はネットにはクール過ぎる存在だから……ポイズンやガンズ・アンド・ローゼズのようなバンドの再結成は大金が動くビジネスなのさ。



―スキッド・ロウの最初のアルバム2枚に影響を受けた人々がたくさんいますし、今でも色あせてない曲が収録されています。「アイ・リメンバー・ユー」、「ユース・ゴーン・ワイルド」、「エイティーン・アンド・ライフ」は、30年を経た現在でもラジオで流れてきます。それについてはどう思いますか?

いつもドキドキしてしまう。昔ローリングストーン誌が「人生の曲トップ5」とかいうタイトルの特集をやったのを覚えているよ。確か、ノラ・ジョーンズだったかな。とにかく、誰かが送ってくれたその記事で、ノラがスキッド・ロウの「アイ・リメンバー・ユー」を選んでた。彼女が11歳の頃らしくて、記事の中でそれについて語っていた。探してみてくれ。君のところの雑誌だからさ。とにかく「これを聴くと信じられないくらい強いノスタルジアの波に飲み込まれる……」とか言っているはずだよ。

また、ゾーイ・クラヴィッツが最初にカバーした曲が「アイ・リメンバー・ユー」だったらしい。それに関する大きな記事がローリングストーン誌に掲載されていた。彼女の父親がどうやって選曲を手伝ってくれたかとか。何年も前にレニーと一緒に時間を過ごしたとき、いつもあのアルバムがどれだけ気に入っているかを教えてくれた。あの曲にはあの曲なりの運命があるって多くの例が証明しているのさ。

あと、キャリー・アンダーウッド。興味があるなら、YouTubeで彼女が歌っているこの曲を見てくれ。本当に驚くから。アダム・レヴィーン。ヤツとは仲がいいんだけど、(NBCの音楽オーディション番組)「ザ・ヴォイス」で「アイ・リメンバー・ユー」を選んだ。俺の声を選んでくれてありがとな(笑)。ファイナルで歌う曲として選んだのさ。こんなふうに、いくらでも例をあげられる。あのシングル曲は独自の運命を持って時空を超えているよ。この曲と同じようなスタイルの曲が他にもあるけど、どういうわけか、この曲は何十年経っても人々の心に響くのさ。



Translated by Miki Nakayama

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