細野晴臣「CHOO-CHOOガタゴト」はおっちゃんのリズム前哨戦? 鳥居真道が徹底分析

ところで、「一寸ハネてる」とはどういう状態なのか。まず100%ハネてるリズムから見ていきましょう。ハネたリズムというとシャッフルやスイングなどがありますが、ここではシャッフルを扱います。シャッフルというのは「タッカタッカタッカタッカ」というあのリズムです。非常にポピュラーなリズムで、例えば、セブンイレブンでよく耳にする「Daydream Believer」で使われています。

シャッフルというものは「3連の中抜き」と解説されることが多いです。これをピザを使って説明していきます。1つの小節をピザに見立てて、まず4等分します。1切れのピザが1拍にあたります。続いて4切れのピザをさらに3等分します。1拍につきピザが3切れある状態です。これを3連とします。そして、1拍ごとに真ん中の一切れを取り除きます。12等分したピザから4切れ抜き取ったので全部で8切れになりました。これがいわゆる「3連の中抜き」と呼ばれるものです。取り除いたピザが占めていたスペースが「タッカタッカ」の「ッ」にあたります。早い話が休符のことです。

一方、ハネていない状態を先程の例を用いて説明すると、ピザを8等分した状態になります。しかし、ここでは以下のように考えてみます。「タッカ」の「ッ」が消滅し、その分「タ」と「カ」が大きくなった状態であると。次の様子を想像してみてください。3人がけのソファーの両端に2人の人間が1人分のスペースを空けて座っています。時を経るとともに彼らはどんどん太っていき、遂には二人の体が密着するようになってしまいました。つまり「タッカタッカタッカタッカ」から休符の「ッ」が消えて「タカタカタカタカ」に変化したわけです。このリズムをイーブンだったりストレートなんて呼んだりします。

そして本題である「一寸ハネてる」とはどういうものなのか。これは「タッカ」の「ッ」が占めるスペースを小さくなりイーブンに近いた状態のことを言います。先述のソファーの例で云えば、二人の間にスペースは残ってはいるものの、もう一人座れるほどのスペースは残っていない状態となります。「ッ」の大きさには幅があるので、これをコントロールすることでハネ具合に濃淡をつけることができます。

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