細野晴臣「CHOO-CHOOガタゴト」はおっちゃんのリズム前哨戦? 鳥居真道が徹底分析

細野晴臣や林立夫に多大な影響を与えたザ・バンドのドラマー、そしてボーカリストであるリヴォン・ヘルムにスティーブ・ジョーダンがインタビューした際に彼はこんなことを言いました。「リヴォン、あなたはドラムを叩きながら歌うけど、それぞれが独立していてまるで別人のようだよね」と。「例えば、その曲のリズムがストレートだったら、シャッフルっぽく歌いたいんだよね。そうすることで摩擦が起きるんだよ」と答えると、スティーブが「それこそがロックンロールだよ」と指摘します。リヴォンは「これはアール・パーマーから学んだことなんだ。彼はシャッフルとストレートを同時に演奏するんだよね」と返します。

ザ・バンドの曲にはイーブンとシャッフルが混じったアンサンブルのものがあります。例えば「Up On Cripple Creak」です。低音を担うドラムのキックとベースはかすかにハネていますが、その他の楽器はあまりハネていません。本当に微妙なグルーヴの曲です。ちなみにリヴォンは「Up On Cripple Creak」はダンサブルにしたかったからハーフタイムで演奏したとインタビューで語っています。さらに、同じ手法を「The Weight」でも使ったとも言っています。また「The Night They Drove Old Dixie Down」はハーフタイムのシャッフルだといえます。

ハーフタイムというのは端的に言えば、テンポを半分で取ることです。BPMが180であれば90と解釈して演奏するということになります。歌のテンポはそのままにして演奏だけ半分のテンポにするといえばわかりやすいでしょうか。ウーン? と思った方は、ロックンロールの代表選手、ジェリー・リー・ルイスの名曲「Great Ball Of Fire」をジョー・ママという個人的にとても贔屓にしている70年代前半のバンドがハーフタイム・フィールでカバーしているのでそのふたつを聴き比べてみてください。

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