細野晴臣「CHOO-CHOOガタゴト」はおっちゃんのリズム前哨戦? 鳥居真道が徹底分析

さて、「Up On Cripple Creak」のドラムは本人が言うようにダンサブルで非常にファンク的だと感じます。この曲は「ファンク再生工場」という側面も有したヒップホップのトラックメイカーにも取り上げられています。ギャング・スターのDJプレミアがこの曲をサンプリングして作ったのが「Beyond Comprehension」という曲です。DJプレミアといえばハネたキックが特徴です。

細野晴臣の「CHOO-CHOOガタゴト」もハーフタイムでハネているわけですが、ここで改めてキックを聴くとほとんど90年代の東海岸ヒップホップ的なハネ方に感じられないでしょうか。間奏の盛り上がる箇所などプレミアがプロデュースしたナズの「Nas Is Like」のようです。

林立夫は小坂忠とフォー・ジョー・ハーフに参加していた頃、ザ・バンドのリズムを洗練させた感じを目指していたそうです。「CHOO-CHOOガタゴト」のベースとキックによる拍をまたいだ「ボボッ」というフレーズは「Up On Cripple Creak」や「King Harvest」でも聴くことができます。キャラメル・ママの二人は、こうしたフレージングの直接的な影響に加えて、リック・ダンコが言うところの「何を空白のまま残しておくか」というアレンジメントの基礎となる考えも消化しているように感じられます。

林立夫とリヴォンを比べると、林立夫のほうがタイトで跳ねはするけど揺れはしないという感じがあります。端正と言いましょうか。『Hosono House』の歪み感も相まって、サンプラーを手打ちしたような質感があるように感じてしまいます。

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