北極圏グリーンランドで史上最高気温を計測、氷床の融解が急加速

季節外れの温暖な気候の中、イルリサット・アイスフィヨルドに押し寄せる海面に漂う氷の塊(2019年7月30日 グリーンランドのイルリサット近郊)Sean Gallup/Getty Images

北極海と北大西洋の間にある世界最大の島グリーンランド。過去1000年の間にわずか数回しか発生していないというレベルの大規模融解が、今年加速している。8月初旬には、地表近くで史上最高気温を計測。「全て溶けて流れ出さないように祈るのみだった」と、気功科学者は語る。

酷暑が続く中、グリーンランドの氷床が史上最大の融解時期に入っている、という新たなデータがある。気候科学者らによる最悪の想定を遥かに超えて気候変動が加速している、という最近の憂慮すべきシグナルだ。

2019年7月にヨーロッパ北部をうだるような暑さに包み込んだ記録的な熱波は、さらに北上して特に暑さに弱いグリーンランドの氷床を襲った。結果、例年より約14〜17℃も気温が上昇した。

複数の気象モデルによると、グリーンランドのいくつかの地域における同年7月30日の気温は、24℃を超えたと思われる。さらに首都ヌーク近郊で打ち上げられた気象観測気球が、地表近くで史上最高気温を計測した。熱波はさらに強烈さを増して8月1日にピークを迎え、これまでグリーンランドで1日に記録した最大の氷の融解量を記録すると見られる。8月1日の1日だけで氷床から120億トン以上の水が海へと永久に溶け出し、地球全体の海面を不可逆的に押し上げるだろう。

グリーンランドの気象サービスを公式に管轄するデンマーク気象協会が発信したツイートによると、「サミットを含むほとんど全ての地域の氷床」が7月30日、目に見えるレベルで溶け出したという。概算によれば、融解した水が氷床表面の87%を覆ったという。グリーンランドで史上2番目に多い1日の融解量だ。厚さ約3kmの氷床の頂上に位置するサミット観測所に設置された別の気象モニター機器は、短時間だが気温が融点に達したことを記録している。

溶け出した大量の水が、氷床の縁から大きな滝となってドラマチックに流れ落ちる様子も見られた。8年前、グリーンランド西部に融解監視ステーションを設置した気象科学者のイリーナ・オヴェリーム(Irina Overeem)は、今回溶け出した水が激しく流れる様子を撮影した。投稿したツイートの中で彼女は「全て溶けて流れ出さないように祈るのみ」とコメントしている。ローリングストーン誌に宛てたメールでオヴェリームは、最近のグリーンランドにおける自然の様子を説明している。激流のビデオを撮影後、彼女は首都の中心部にあるスーパーマーケットのお知らせボードの上に、氷河から溶け出した大量の水が流れ込む前兆に気づいた。今回と同様の氷河の融解による洪水は2012年にも発生し、その時は橋を押し流すほど激しかった。



氷床コアを調べた結果、今回のような大規模融解は過去1000年の間にわずか数回しか発生していないという。しかし人類が引き起こした気候変動のせいで、大規模な融解が発生する可能性は急激に高まっている。

Translated by Smokva Tokyo

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