2019年ロック最大の衝撃、ブラック・ミディの真価を問う

ブラック・ミディ来日公演の展望

─天井さんはアルバム『Schlagenheim』のなかで、どの曲が好きですか?

天井:1曲目の「953」はやっぱり好きだし、さっき話した通り「Western」の曲構成も巧みですよね。あとは「Years Ago」。ファンクと言ってもスマートなファンクじゃなくて、『母乳』の頃のレッチリだったりプライマスみたいな感じもあって。90年代前後、ミクスチャーが流行った頃のB級ファンクっぽい(笑)。

─わかります(笑)。

天井:フェイク・ジャズならぬフェイク・ファンクというか。日本だとJAGATARAや54-71とか。あとはノーウェイヴ周辺、ジェームス・チャンス&ザ・コントーションズとも近いですよね。スマート過ぎず、「contort(ねじ曲げる)」されているというか、白と黒が混ざりあった感じ。





─もしくは、ジーザス・リザードやシェラックにも通じる硬質のグルーヴというか。

天井:「bmbmbm」なんかバットホール・サーファーズみたいだしね。レーベルでいえばタッチ・アンド・ゴーやホームステッド辺りのポスト・ハードコア系バンド、あるいはアット・ザ・ドライブインとか。あと、彼らはポストロック/マス・ロックもよく引き合いに出されてますけど、バトルスなど多くのバンドがポスト・ハードコアに出自を持ち、ジャズやノイズの要素も内包していたことを踏まえるなら、あながち遠からずかもしれない。




─たしかに、固有名詞を挙げだすとキリがない(笑)。いろんな様式に手を出してるけど、最終的には聴いたことがない音楽のようにも思えてくる。こんなにスケールの大きなバンドも近年珍しいですよね。だから騒がれるのも当然ですけど、いざライブ動画を観ると、本当に“バカ騒ぎするための音楽”として歓迎されてるみたいで。

天井:サウス・ロンドンのバンドが根城にしているヴェニュー、ウィンドミルのライブ映像がいくつもYouTubeにありますよね。

─そうそう。最近アップされた動画でも、エド・シーランみたいな風貌の客がメチャクチャ盛り上がってて(笑)。お客さんのノリがパンクやハードコアっぽくて最高なんですよ。それこそ、ライトニング・ボルトのライブとか思い出す感じ。

天井:個々の演奏はタイトでミニマルな反面、雪崩を打つような荒っぽくて手数を尽くした合奏もある。旋律・調子やヴァース&コーラスではなく、リフとノイズ、音の強弱によって躍らせる彼らのスタイルが、ライブだとより顕著に表れている気がします。



─来日公演はさぞかし楽しいものになるんでしょうね。

天井:うん、そうあってほしい。盛り上がることは間違いないし。

─結構、ぶっ続けでやるっぽいですよね。

天井:そうそう、MCも挟まないみたいで。それこそインプロが持ち味だから、音源とはだいぶ異なるものになりそう。彼らはライブの即興から曲を作り上げて、それを次の作品に投影していくタイプのバンドだから、知らない曲もたくさんやるんじゃないかな。



〈ツアー情報〉


black midi live in japan 2019


9月5日(木) 東京・代官山Unit
Support Act: Dos Monos
OPEN 18:00 START 19:00 Sold Out

9月6日(金) 大阪・Conpass
OPEN 19:00 START 19:30 前売¥5,500(税込)

9月7日(土) 京都・Metro
OPEN 17:30 START 18:00 前売¥5,500(税込)

※別途1ドリンク代 / オールスタンディング
※未就学児童入場不可

詳細:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10271


〈リリース情報〉


ブラック・ミディ
『Schlagenheim』
発売中

詳細:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10270

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