佐々木:俺的にはビリー・アイリッシュって、マリリン・マンソンなんです。ヴィジュアルもそうだし、サウンドもシャッフルのブギーっぽいビートだったり、リフがブルースロックっぽいものをサブベースで鳴らしている感じがするし。だからキャラを突き詰めたなって思う。ニルヴァーナとかも含めたそれまでのエモい流れの中から、キャラを突き詰めることでマリリン・マンソンが出てきたと思うんだけど、彼女を見ているとそれと同じような感覚を覚えます。まあ、そうやって無理やりトレースするのはマジでおっさん臭いなって自分でも思うんですけど(笑)。
クロダ:(笑)。実際、本人もカテゴライズされることを嫌煙しているようですからね。
佐々木:でも、超突飛な存在っていうよりかは、ここまでのラップの流れとか、エモさの処理の仕方を凄く考えてキャラクタライズしているなって俺には感じる。そのキャラクタライズのひとつの答えがホラーっていうのも、めっちゃマリリン・マンソン的だなって。
クロダ:ホラー的なもので憂鬱にシェアしていくと。
佐々木:だからロックバンド、特にラウド系はホラーっぽい見せ方は多いと思うんですけど、そこすらも新しい人に奪われてるなと(笑)。あれやられたらラウドロック全部古く聴こえちゃうんじゃなかなって思ったし、それをあれだけスカスカな音でやっちゃってるっていうね。あと、彼女はお兄さんが曲を作っていたりしますよね。そういう近い人達だけでデッカイことをやろうとする人達がいるっていうところは、シカゴのシーンにも通ずるところがある気がしています。狭いコミュニティの中での問題が、実はみんな同じことを抱えているっていうことでリンクしていく。それって昔は、ロックバンドがパーソナルな歌詞を歌うことで、誰でも共感できるものになるっていう構図があったと思うんですけど。今はラップやポップミューッジックがそれをやってるような感じがして、悔しいんですよね。
クロダ:やっぱり、悔しいんですね?