タイの国民的ポップスター、Stampが日本から世界をめざす理由

Stamp、渋谷で撮影(Photo by Takuro Ueno)



―今回リリースされた『EKAMAI DREAM 1』は、どんなアルバムにしようと考えていましたか?

Stamp:タイでは受け入れられるか微妙な曲でも、日本だったらいけるだろうと。向こうでは既にStampのイメージが固定化されてしまってるので、その殻を壊すような音楽を作るのがテーマでした。これまでタイで発表してきた曲もアレンジを加えたり、新しいジャンルとして解釈し直したり、そういうチャレンジもやっています。

―タイでどんなイメージを持たれているのか気になります。

Stamp:タイではどちらかというと、歌詞の印象を強く持たれていると思います。なので、音楽を作る時もまずは歌詞が耳に入るような感じにしていて。でも、今回のアルバムはタイ語ではないので、サウンド面もすごくこだわっています。

―たしかに、ポップでモダンな音楽性が印象的でした。自分のなかでどんなことにチャレンジしましたか?

Stamp:モダンポップ的な部分について言うと、日本というかアジアのメロディックなところを取り入れつつ、インターナショナルに受け入れられそうな作品をめざしました。タイや日本、英語とかに固定されず、どこに住む人が聴いても「いいね」って思われるような歌を作りたくて。僕自身、Spotifyのなかで曲をサラッと聴く時に、どんな言語で歌っていても、アジアのメロディックな要素が入っていると柔らかく感じる気がして。そういう音楽が好きで、自分のアルバムに取り入れたいっていうのもありました。



―タイ語で歌ってる曲もありますけど、すごくタイらしいかといえばそうでもない。独特のバランス感覚がある気がしました。

Stamp:そうですね。今回のアルバムでは、タイらしさを入れることを頑張りすぎないように意識しました。タイの楽器を入れたりとかそういうのではなく、僕が作って歌うことによって、何をやったとしてもタイらしさが滲み出てくると思うんですよ。それくらいでいいのかなと思って。

―「Million Views」って曲は、Stampさんが日本語で歌ってますよね。発音が流暢でビックリしました。

Stamp:ありがとうございます。レコーディングする時に、日本のミュージシャンの友だちが聴いてくれてて、アドバイスをもらったりしました。発音とかの微調整もその友だちに手伝ってもらって。2年前に日本でツアーをした時は、ほぼタイ語と英語の歌ばかりだったんですけど、1曲くらい日本語で歌えればお客さんが喜んでくれるんじゃないかなと思って。



―Stampさんはシンガーとして、本当に素晴らしい声をされてますよね。

Stamp:ありがとうございます。10年くらいキャリアを積み重ねてきたなかで、昔と今で自分の声が変わってきてるのを実感しています。自分の声を知り尽くすようになったことで、声の使い方もわかってきた感じがしますね。ロックやオルタナティブが大好きだけど、自分としてはそういうアグレッシブに歌うタイプじゃないので。ロックなんだけど歌が優しい感じが自分の道だなと思っています。

―このアルバムに影響を与えた音楽を挙げるとすれば?

Stamp:POP ETCですね。2016年のサマーソニックで彼のライブを観たら、まるで夢のなかで見たような音楽で、これは自分でやりたいと思いました。カッコ良さのなかに優しさがある。



―POP ETCのクリストファー・チュウが、Stampさんが2017年に発表したアルバム『Stampsth』のプロデュースを務めているんですよね。

Stamp:そうそう。まずはファンとしていろいろ聴いて、そしたら一緒に音楽を作れるようになって。あれは素敵な経験でした。

―自分のなかで特に気に入ってる曲は?

Stamp:いくつかあって迷いますけど、FIVE NEW OLDのHIROSHIと一緒にやってる「Die Twice」ですね。自分の曲としても、FIVE NEW OLDの曲としても、しっかり聴こえるバランスの良さが気に入ってます。



―コラボといえば、台湾のクラウド・ルーとも交流があるんですよね?

Stamp:そうですね。彼も友だちで、もう神のような存在です。自分もクラウドさんみたいになりたいですね。

―他にもアジアで興味のあるバンドやミュージシャンは?

Stamp:アジア……うーん。すぐに思い出せなくて。

88risingのような動きには興味あったりしますか。

Stamp:チェックはしていますけど、彼らはライフスタイル全般がクールな感じがする。僕とは毛色が違うなーと思います(笑)。

―日本で注目してる人はいますか?

Stamp:King Gnuですね。キーボードが優しいメロディを演奏するなかで、ギターがすごくアグレッシブ。そのハーモニーがいいですね。

―最後に、サマーソニックではどんなライブが期待できそうですか。

Stamp:海外でこんなにスケールの大きなフェスに出られることはすごく嬉しいんですけど、観に来てくれる人たちの大半は、僕のファンではないと思うので。僕としては新鮮な気持ちでステージに立てるし、お客さんにも新しいアーティストを見るつもりで楽しんでほしい。たぶん、15年前に初めてタイのフェスに出た時と同じような気持ちになると思います。お互いにとって、いいスタートが出来るんじゃないかな。バンドメンバーはオール日本人で、FIVE NEW OLDのSHUNがベースを弾いてくれる予定です。


Photo by Takuro Ueno



〈リリース情報〉



Stamp

『Ekamai Dream 1』
発売中
http://www.toysfactory.co.jp/artist/stamp/disco/2030

〈ライブ情報〉
SUMMER SONIC 2019
8月16日(金)、17日(土)、18日(日)
東京:ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ
大阪:舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)
※STAMPは8月17日(土)東京公演に出演
http://www.summersonic.com/2019/

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