サマソニ現地レポ ザ・ダムド、一筋縄でいかないパンクバンドの今

ザ・ダムド(Photo by Kazushi Toyota)

SUMMER SONIC 2019東京公演の2日目・8月17日(土)、Billboard JAPAN STAGEに登場したザ・ダムドのライブレポートが到着。執筆者は荒野政寿(「クロスビート」元編集長/シンコーミュージック書籍編集部)。

ロンドン・パンク第一世代にして、そのシーンで最初のシングル、最初のアルバムを世に送ったザ・ダムド。波乱の歴史を追ったドキュメンタリー映画『地獄に堕ちた野郎ども』(2015年)が日本で公開されてから、それ以前よりも集客が良くなったようで、この日も見事に満員御礼。蒸し暑い場内に新旧ファンがひしめき、世代を越えてぶつかり合う光景は痛快の一語だった。

この日のセットリストは普段と一味違っていて、今年リリース40周年を迎えた3rdアルバム『マシンガン・エチケット』(1979年)から8曲を立て続けに披露。解散・再結成を経て、それまでベースを担当していたキャプテン・センシブルがギターにコンバートした最初のアルバムである同作には、スピーディーなパンク・ロックと共に、彼らのルーツである60sサイケ/アート・ロックの影を湛えた曲も同居している。これ以降の音楽的な深化を予感させる重要なアルバムであると同時に、モンティ・オキシモロンという強力なキーボード奏者を擁する現在のバンドにとって、うってつけの作品とも言える。





そしてうれしいことに、元エディ&ザ・ホット・ロッズのベーシストで、『ザ・ブラック・アルバム』(1980年)、『ストロベリーズ』(1982年)に参加したポール・グレイが2017年からバンドに復帰。リッケンバッカー・ベースをドライブさせてグイグイ煽りまくるグレイが、バンドの推進役として機能しているのは明らかだ。ショウの後半でさりげなく『ストロベリーズ』から「イグナイト」を披露してくれたことも、この時期のダムドを愛する者としては特別な感慨があった。

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