サマソニ現地レポ タッシュ・サルタナ、人間離れした「全身楽器」の独壇場パフォーマンス

「コンニチワ、ジャパン。タッシュ・サルタナです。はじめての日本、サイコー!」と日本語で挨拶すると、「昨日のショーはキャンセルになっちゃったんだけど……すごく美しい光景だね」とオーディエンスに感謝の言葉を述べたタッシュ。その後の「Notion」ではアトモスフェリックなギター・アルペジオと、ボン・イヴェールにも似た多重コーラスで歌い上げる《ハレルヤ》の鬼気迫る表現力に度肝を抜かれたし、「Synergy」におけるマンドリンやパンフルートを鮮やかに取り入れたサウンドは、モダンな感性と土着的なムードを併せ持つ彼女の真骨頂にして独壇場。バックスクリーンには「脳内メーカー」を彷彿とさせる人間の横顔とサイケデリックなビジュアルが絡み合い、視覚と聴覚の相互作用で我々もドラッギーなまでにタッシュのインナーワールドへと誘われてしまう。もともと昨年のコーチェラ中継でタッシュにのめり込んだ筆者だが、フリークアウトしたままフォトピットに駆け下りて大観衆と触れ合う姿もまた感慨深いものがあった。





ラストはもちろん「Jungle」。シンプルなコードとリフを重ねていくことでヒプノティックな陶酔感を生む名曲であり、文字通りジャングルから飛び出してきたかのような野性味あふれるタッシュ・サルタナの笑顔と人間離れしたパフォーマンスに、SONIC STAGEへと吸い寄せられたほぼすべてのオーディエンスがノックアウトされてしまった。大阪公演が予定どおり行われていれば、その評判からもっと多くの観衆を集めたはずなので一抹の悔しさも残るが……おそらく、再来日はそう遠くない未来に実現するだろう。次回はぜひ、GREENROOM FESTIVAL出演とかどうですか?

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE