ブロックハンプトン独占取材「俺たちはブラザー、壁にぶち当たってる人々の味方」

―新曲の「I Been Born Again」と「If You Pray Right」(共に新作『Ginger』収録)は、日本がライブでの初パフォーマンスでした。プレイしてみた手応えはどうでしたか?

ケヴィン:すごく楽しかった。

ドム:素晴らしい体験だったよ! グループとしてライブでパフォーマンスしたのは今回が初めてだったけど、とても激しいエナジーがあって、すごく楽しかったね。

―ライブのオープニングにもなった「I Been Born Again」ですが、曲のテーマについて教えてください。

ジョバ:例えるなら“蛇の脱皮”かな。新しく生まれ変わることについて書いた。それとミュージシャン、ライター、プロデューサーとしての直感を全面的に信じるんだってことを意識した。

ケヴィン:それから、より大きな成功を手にしても自分のすべきことを追い求めろってことを書いてる。俺にとっては『成功してもいかに自分らしくあるか』、そういうことをテーマにした曲だね。



―「If You Pray Right」については?

ジョバ:他のメンバーからは違う意見が出るかもしれないけど、俺にとっては「I Been Born Again」と似てて、自分なりの倫理を持って自分らしくあれということを表現してる。善き人としての自分を見失わず、自分の可能性を信じることが、ポジティブでいられる道だから。時には変わっていく世界に自分が引きずられそうになっても、自分の良心を信じることがテーマだよ。

ドム:付け加えると、今回の新曲は精神的に初心に立ち返ったものでもあるね。自分たちが大好きなことをやろうとした始まりの場所に戻ってる。アルバムを聴いてもらえれば、音楽的には進化してるけど精神的には『Saturation』の3部作を作った頃のような、ピュアな気持ちに立ち返ってる俺たちを感じてもらえるんじゃないかと思うよ。



―前作『iridescence』はほぼロンドンで制作したアルバムでしたが、今回『Ginger』はロサンゼルスにあるBHハウス(メンバーが共同生活を送っている自宅兼スタジオ)で制作したそうですね。今回の作品のムードは前作と比べてどのようなものになったと考えていますか?

ジャバリ:今作はカリフォルニアで制作したということもあって、すごくリラックスしたムードがあるね。それに、その瞬間瞬間を楽しんでいる空気があると思う。

ドム:『iridescence』は内容的にもサウンド的にもすごく色々な方向性があって、やってやるぞという気合いが込められてたアルバムだった。それに対して『Ginger』はもっと自信に満ちてて、余裕を持って自分たちのやりたいことを示せたアルバムだよ。

―『Ginger』というアルバムタイトルはどこから生まれたんですか?

HK:メンバー同士の会話から生まれたタイトルで……。

ケヴィン:(HKに向かって)アンダードッグについて話してた時だろ。「特に意味はない」とか言うなよ、お前が席を立つ前に負け犬について話してたよな。

一同:(笑)。

ケヴィン:OK、みんな説明してくれるHKに拍手!

一同:イェー(拍手)!

HK:『Ginger』っていうのは負け犬を象徴した言葉で……。

ケヴィン:いいぞブラザー!

HK:もっといい人間になろうとしてるけど壁にぶち当たっていて、自分以外に誰も自分のことを信じる人がいない、そんな人たちのための言葉だ。俺たちはこのアルバムでそういう人たちとコネクトしたい。だって俺たち自身、そういう気分になる時があるから。壁にぶち当たってる人たちに、俺たちは彼らのブラザーで、そういう気持ちにコネクトできる存在なんだって知ってほしいんだ。それが『Ginger』の意味であり、タイトルの由来だよ(※「Ginger」という単語には元気、気力、精力といった意味もある)。

―ブロックハンプトンの曲ができていくプロセスについて教えてください。パフォーマンス・メンバーは6人、プロデュース・チームは3人いるわけですが、楽曲はどのような流れで作られていくのでしょうか?

ドム:まず部屋の中にマイクを立てて、それぞれに言いたいことや書きたいテーマのアイディアを好きなように出し合っていく。それでみんなが同じエナジーを感じられるもの、これはレコーディングしたいと全員が思えるものができたらプロデューサー・チームが合流し、みんなのアイディアをまとめながら曲の形に仕上げていくって感じだね。だから初期のデモは9分間なんの音もなくひたすらラップしっぱなしだったりするんだけど、それが最終的にプロデューサーチームの手によって最高の2分半の曲になっていくんだ。

マット:俺たちが共同生活してる家には1階と2階にそれぞれスタジオがあって、1階はジャバリ、2階はロミルのスタジオなんだ。メンバーはそれぞれの場所で曲を書いたり、アイディアを出してそれを試してみたりもできるようになってるよ。

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