支持者ですら感じるトランプ政権への疲弊感、大統領選までもつのか?

ここでトランプは唐突に、「ウィスコンシン州では、多くの素晴らしい農業関連のイベントが広く行われている」などと褒め言葉を並べた。貿易戦争によって悪影響を受けている米国の農民たちへ配慮する振りをしたレトリックだ。また、2016年の米大統領選における選挙人団による投票にも触れたが、獲得した票数を誤って306票(実際は304票)と発言している。さらに、2016年の選挙時にニューハンプシャー州は自分から奪われたなどと証拠もなく主張するのは、米国の民主主義に対する冒涜にもなりかねない。

しかし、トランプがニューハンプシャーの人々の前に姿を現してから2時間が経った頃、大統領の演説は、使い古して目新しさを欠くお決まりのギャグのようになってきた。ヒラリー・クリントンやジョー・バイデンに対する攻撃、「彼女を収監しろ!」や「壁を作れ!」といった掛け声、人種差別主義的なレトリック(例えば「米国民の多くは“ヨーロッパ”に起源を持つ。私もそうだ」という発言。※訳注:ヨーロッパ=白人を暗に指す)、将来の政策に関する口先だけの公約(例えば「政府は広告やキャンペーンを通じ、青少年や子どもたちに対してドラッグの危険性を積極的に訴えている。ドラッグは脳を破壊する恐ろしいもので、あらゆる悪事に関係する。これはとても大変な啓蒙活動だ」との発言)、ミシガン州の「マン・オブ・ザ・イヤー賞」なる実在しない賞を受賞したという主張など、これまで何度も繰り返してきた内容が並んだ。

トランプ支持者ですら、うんざりしたようだ。集会に参加したアトランティック誌の記者イレイナ・プロットは、大統領の演説中にもかかわらず多くの人が出口へ向かっていたとツイートしている。

「トランプ・ラリー」は勢いを失ってしまったのか? トランプの言動は支持者にすら新鮮味がなくなったのか?

答えを出すのはまだ時期尚早だ。しかし、米国民のほとんどが感じているトランプ政権の疲弊感が大統領の足元に忍び寄ろうとしているとすれば、2020年の再選を目指すトランプにとっては不吉な兆候だ。

Translated by Smokva Tokyo

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