サマソニ現地レポ B’zが「ホームグラウンド」の20周年を圧巻のライブで飾る

「王者の帰還」を示した一曲目の「RED」

日はすっかり暮れ、台風の影響で吹き荒れた強風も弱まり、アリーナ後方からスタンドまでびっしりオーディエンスで埋まった中、一曲目に演奏されたのは「RED」。メジャーリーグから広島に復帰した黒田博樹投手の登場曲として書き下ろされた楽曲だけあって、ビッグなコーラスを含む文字通りのスタジアム・ロックであり、まさに「王者の帰還」という印象。ステージ上には両サイドにギターアンプがずらりと並び、音圧がものすごいし、そんな中を突きぬけていく稲葉浩志のシャウトもすごい。続く「声明」の〈この度私は変わります 真新しい朝にwake up wake up/限界もNGも無くします 少々痛いのも気にしません〉という歌詞は、20年目にして初の日本人ヘッドライナーというシチュエーションとも見事にリンクしていた。

この日のステージと2017年のフェス出演の大きな違いは、現在彼らはアルバムのリリースツアーである「LIVE-GYM」の真っ最中であり、なおかつ、今回のツアーからサポートメンバーが一新されたことが挙げられる。2017年のフェスでは、長年ステージをともにし、B’zの楽曲を知り尽くしたメンバーだったこともあって、90年代、00年代、2010年代の楽曲をバランスよく並べたセットリストだったが、今回はLIVE-GYMの濃縮版のようなセットリストで、5月に発表した最新作『NEW LOVE』の収録曲をはじめとした2010年代の楽曲が中心。デビューから30年以上経過したバンドが、往年のヒット曲を連発するのではなく、あくまで現在のモードでヘッドライナーを務めるというのも、フェスとの信頼関係が感じられる。

一新されたサポートメンバーの中で、ギタリストのYukihide“YT”Takiyamaとともに、その存在感が光っていたのは、紅一点のベーシストであるモヒニ・デイ。ジャコ・パストリアスのカバー動画が話題となるなど、若くして注目され、現在まだ20代半ばの彼女は、5弦ベースでバンドの重厚なグルーヴを支え、稲葉の遠吠えがチャーミングなファンクナンバー「WOLF」のような曲では特に生き生きしているように感じられた。ちなみに、キャリア初期のB’zの音楽性は、松本がTM NETWORKのサポートを務めていたこともあり、「ハードなギターサウンドと打ち込みのダンスビート」が基本で、プリンスであり、「黒いレッド・ツェッペリン」とも呼ばれたリヴィング・カラーなどが参照点。つまり、ファンク色はB’zの王道のひとつであり、その点でも今回のモヒニの起用は納得で、ときおり披露されるテクニカルなタッピングやスラップもいいアクセントになっていた。


©VERMILLION

オーディエンスをフィーチャーしたり、ギターソロを弾く松本が雷に打たれたりと、スクリーンを使った演出も楽しい「トワニワカク」や「有頂天」に続いて、早くも「ultra soul」が披露されると、お馴染みの〈ウルトラソウル!ハイ!〉で、この日最初のピークを迎える。近年はライブ終盤で演奏されることが多かったが、昨年のベスト選曲ツアー「Pleasure」で1曲目に演奏されたのに続き、現在では中盤に置かれていることも、B’zが新たなモードに入ったことを伝えている。

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