ReoNaの魂は音楽で救われる「今でも私の中に開き続けてる穴がある」

今だから歌えるつらさや苦しみ

ー闇雲に続けていく中で、自分の表現者としてのターニングポイントになった出来事やステージもありしましたか?

ReoNa:デビュー前でいうと、アニソンカバーをした時ですね。自分の好きな気持ちを、好きなもの同士が同じ痛みや共感を持って集まる空間が居心地よくて、ここに居たいって思いました。やっぱり、自分の発した言葉や音に反応が返ってくるのは嬉しいですね。今でも、ステージに立ったら全員の顔が見たくて、なるべく目を合わせられるようにっていうのは続けています。

ー自分への共感者がどんどん増えるのは、強いモチベーションになりますよね。

ReoNa:当時の自分自身が、痛みや苦しみを代弁してくれるものを探し求めていたように、自分がお歌を歌える立場になっても、もしかしたら同じ気持ちの人がいるんじゃないかなと思っています。これだけの方に響いているのは、自分と同じ気持ちでお歌に癒しを求めてきてくれる人がいるんだろうなって。



ーファンや共感者もどんどん増えてきて、明るい未来が待っているであろう状況で今回の3曲入りシングル『Null』に収められてる曲は、ReoNaさんが絶望している当時の心境を曲にしたものですよね。それは今だから歌えるっていう部分もあるんじゃないですか?

ReoNa:それはあります。17、18歳のとき、自分の居場所なんてないと思ってたし、お歌を歌っていけるのか、歌っていって良いのかすら分かっていない状態で。歌うことで自分を曝け出している感覚があったので、ReoNaとして人に届ける歌詞って、内臓や心を見せるような苦しみがあるんです。今の立場になって、当時の辛さを振り返れるようになったからこそ出せるようになった曲だなと感じます。2曲目の「Lotus」もそうですね。自分の中で今なら言葉にできる言葉を書き連ねて、一旦飲み込めた苦しみだけを形にしました。この歌詞に表している当時の自分に歌えって言われたら、あまりにリアルで世に出すには痛い楽曲だったろうなって思います。



ー同じく『Null』に入ってるAqua Timezのカバー曲「決意の朝に」は、昔から馴染みのある曲なんですか?

ReoNa:元々はアニメ映画『ブレイブ ストーリー』の主題歌になっていた曲で、当時はすごく好きで歌っていたのに、楽曲自体からはしばらく離れていたんです。デビュー前にライブで歌うカバー曲を考えていたときに、ふと思い出して。ただ、歌詞も全部日本語ですし、このお歌に関しては伝えたい気持ちをお歌にすると邦楽っぽいというか、英語の歌詞を歌っている時と違う感じになっているのかなと思いますね。

ー9月からツアーも回られますよね。アコースティックギター1本でステージに立ったり、バンド編成の時もあると思いますが、ReoNaさん的にはどちらが好みなんでしょう?

ReoNa:やっぱり音数が少ない方が、言葉として届きやすいなって思います。先日、初めてアコースティック編成だけのワンマンライブをしたんですけど、ロックな曲をアコースティックでやった時、シンプルだからこそ分かる歌詞の意味や解釈があって。同じ歌詞でも、曲の雰囲気が変わるだけで全然違う顔が見られるなと感じました。どっちが好きとかではないんですけど、言葉を伝えるという意味では、音数が少ない方が自分の声を聴いてもらえる。そこがアコースティックのいい部分だと思います。

ー弾き語りでもバンド編成でも、ReoNaさんの声が有機的で馴染みがいいと思うんです。自身のヴォーカル表現で気をつけていることって何かあるんでしょうか?

ReoNa:表現で気をつけていることはやっぱり言葉です。まだ使い分けられるほど余裕はないですけど、どれだけ息が苦しかろうと音が高かろうと、言葉がより伝わる為に、どこを強くするかというのは、精一杯の中でも大事にしています。

ーライブはファンと直接触れ合える場所だと思います。それが広がって、大きなステージに立っているのは素敵なことですね。

ReoNa:初めてのツアーが今年の2〜3月だったんですけど、こんな短いスパンでまたツアーをやらせていただけるとは想像していなかったので嬉しいです。今年の自分の目標の一つとして、自分から全国の人に会いに行きたい、お歌を届けに行きたいっていうのがあって。6都市回らせていただくんですけど、初の仙台もありますし、北海道もワンマンは初めて。音源でお歌を聴いてくださっていた方に、初めて同じ空間で一回しかないお歌をお届けする機会がたくさんあるのは嬉しいです。どんな空間で、どんな人たちと、どんな物が作れるだろうってことを、たくさん考えないといけないと思いますし、とても楽しみです。

ーツアーなど楽しみなことがたくさんがあって、充実した作品も作れているわけですよね。昔の痛みを背負って絶望があった環境とは違う場所にいるわけですが、今でもそこまで打ちのめされることってあるんですか?

ReoNa:これまでの長い過去を積み重ねてきたからこそ今があるわけで、ちょっとしたことで過去に引っ張られちゃうこともあります。今回みたいにお歌にできた過去の痛みとかもあるんですけど、学校に行けなかった過去とか、自分の居場所がなくて認めてもらえなかった幼少期など、今でも私の中に開き続けてる穴があって。あの時救ってもらえなかった自分は、ずっとあの時に生き続けていて、あの痛みを少しずつお歌という形にしながら、いつか本当に過去にできる日があるかもしれない。ただ、絶望アニソンシンガーじゃなくて絶望“系”アニソンシンガーなので、逃げてきた痛みとか苦しみの果てに、私はお歌がある。今私に共感してくれる人たちにも未来があって、その人たちも皆まだ道の途中だと思いながら、今もお歌を歌い続けています。

Edited by StoryWriter

<INFORMATION>

『null』
ReoNa
SACRA MUSIC
発売中

完全生産限定盤


初回生産限定盤


通常盤


・ReoNa Live Tour 2019“Colorless”
9月21日(土)BIGCAT(大阪府)
OPEN 17:00 / START 18:00
問:夢番地 06-6341-3525

9月29日(日)HEAVEN’S ROCK さいたま新都心VJ-3(埼玉県)※女性限定ライブ
OPEN 17:30 / START 18:00
問:ホットスタッフ・プロモーション 03-5720-9999

10月5日(土)DRUM LOGOS(福岡県)
OPEN 17:00 / START 18:00
問:キョードー西日本 0570-09-2424

10月10日(木)仙台Rensa(宮城県)
OPEN 18:00 / START 19:00
問:キョードー東北 022-217-7788

10月12日(土)THE BOTTOM LINE(愛知県)
OPEN 17:00 / START 18:00
問:サンデーフォークプロモーション 052-320-9100

10月18日(金)cube garden(北海道)
OPEN 18:30 / START 19:00
問:マウントアライブ 011-623-5555

オフィシャルHP
https://www.reona-reona.com/

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