善は善を生まない―25年闘ってきた清春さんだけに言葉に説得力があるなぁ。果敢にやってるんですよ。これだからステージで若い子には負けないんです、僕ら。別に売れても売れなくてもうここまで来たら関係ない。ただ如何に自分で満足できるかっていう。若いバンドはフェスだと、このバンドより盛り上げないといけないとか、たぶんあるんだと思うんですよ。だけど、僕らってもうないから。ワンマンでいいライブができたかどうかが大事。でも本来はそこであり、大先輩の人達はもうそこにかけてる。今回の『Covers』でスタレビの「木蘭の涙」をカバーしてて、カバーするにあたって過去のインタビューを読んだんです。そしたら、スタレビがインタビューで「毎日ライブできる、これしかない。やりたいことはもうこれだけなんです」って言ってて。スゲーって思ったんですよね。毎日ライブができればいい、プロになったら毎日ライブができる、だからデビューしようと思ったっていう。プレイができてそれを観ている人がいて……本来そこから始まってるんですよ、音楽って。ライブハウス出ても人が入んないからYouTubeでやるって、それ何のためにやってるの?って。人が入らないとビジネスとしては成り立たないかもしれないけど、そういうの関係ねぇじゃん、ぶっ壊そうぜ、から始まったんじゃないの?って。テレビで流れているポップスなんてクソだ!っていうところからロックが始まったんじゃないの? それに賛同する人が「おー!」ってなったんじゃないのって。
―ええ。整理整頓しすぎちゃってるんですよ。周りがしてるというより自分達がしてるよね、整理整頓を。はみ出している部分こそがロック・ミュージックだったり、ロック・ミュージシャンなのに。よく言われるコンプライアンスとか、ガバナンスとかがあること自体がもうロックじゃない。これを言っちゃうと、また「そんな考え方の時代じゃない」って言われるんだろうけど、そしたらもうスゲーのは出てこないよ、絶対、と思いますね。
―その話の流れて最後に敢えて聞きたい。ピエール瀧さんに続き、先日Ken KenとJESSEが逮捕されてロック界のドラッグ問題が注目されてますが、僕は、音楽や芸術はそもそも常識や法律の外にあるものなので、少し別の見方をする必要があると感じていますが、どうですか?前提として法律で禁止されていることなので、ドラッグはダメだし、メンバーが捕まれば、バンド自体が止まってしまうし、家族や関係者にも迷惑がかかるってしまうんですよ。だけど、一つ言えるのは、善は善を生まないんです。悪があるから善が生まれるんですよ。悪があって、そこから這い上がろうとか、そういう気持ちが次の善を生むんで。必要悪まで排除しちゃうと、むしろとんでもないことになるとは思いますね。
<INFORMATION>
『Covers』
清春
ポニーキャニオン
発売中
<初回限定盤>
<通常盤>
『Covers Music Clips』
清春
ポニーキャニオン
9月18日発売