ハリー・スタイルズが影響を受けた15のこと

Ryan McGinley for Rolling Stone

東京でのエピソードやポール・マッカートニーのレア曲からピーター・ガブリエルの「スレッジハンマー」のMVまで、ハリー・スタイルズがいまハマっているものを米ローリングストーン誌編集者のロブ・シェフィールドが詳しく紹介。

若いスーパースターは、何を考えながら時間を過ごしているのだろう? 頭のなかのほとんどはクラシカルなロックのこと、後は映画やテレビ番組のこと? かねてより、ハリー・スタイルズはポップスの熱心な研究者であり続けてきた。ジョンとヨーコのアルバムや、フリートウッド・マックのレア曲などにこだわる男、それがハリー・スタイルズなのだ。「僕たちはみんな、ただのファンさ」とスタイルズは語る。「たまたま、僕は自分でも作曲する音楽ファンってだけのこと」。スタイルズに影響を与えたもの、インスピレーション源、ヒーローなど、今回はスタイルズの数々のお気に入りのなかから、ほんの一部を紹介する。 

1.ヴァン・モリソン

ヴァン・モリソンが1968年に陰鬱な雰囲気のアルバム『アストラル・ウィークス』を作曲した頃、ボストンのアイリッシュ・ブルースはすっかり廃れていた。「ダントツで好きなアルバム」とスタイルズは言う。「すべてが完璧なんだ」。先日、スタイルズは敬愛するモリソンとともにバックステージでの撮影にのぞみ、モリソンから貴重な笑顔まで引き出すのに成功した。「ヴァンのイメージと笑顔はあまりにかけ離れているから、背中をずっとくすぐってた」とスタイルズはジョークを飛ばした(もちろん、これは冗談)。スタイルズは、自らの初ツアーのSEにベルファストのドラァグクイーンを描いた壮大なバラード「Madame George」をセレクトし、ステージに登場するまでスピーカーで流した。「『Madame George』は大好きな曲のひとつだ。長さは9分。僕の曲にも長いものはあるけど、ここまで長いのはまだ作曲できてない」。

2.ジョニ・ミッチェル

1971年リリースのジョニ・ミッチェルの名盤『ブルー』にどハマりしたスタイルズは、さらにこの世界を掘り下げることにした。「ジョニの大きな穴にハマってしまったんだ」とスタイルズは言う。「『ブルー』を聴きながら、頭のなかでずっとダルシマー(ツィター属打弦楽器の呼称)が響いてた。そこで、1960年代にジョニのダルシマーを作った人を探したんだ。その女性は、いまでもこの近所で暮らしてる」。さらに、スタイルズが見つけたジョニのダルシマーの作り手は、彼を自宅に招待した。「彼女の自宅に行って、そこで少しレッスンを受けた。一緒に座りながら、ダルシマーを弾いたんだ」。スタイルズは、ニューアルバムで彼女が作ったダルシマーの演奏を披露している。「作曲に関して言うなら、『ブルー』と『アストラル・ウィークス』は、どちらも最高傑作だ。メロディーに関して言うなら、それぞれが独自の道を歩んでいる。ジョニとヴァンのメロディーは自由だ。いつも期待を裏切られるけれど、それが最高にすばらしい」。 

3.エタ・ジェイムス

波乱万丈の人生を送ったエタv・ジェムスは、チェス・レコードのブルースからポップ・ソウルふうの感傷的なバラードまで、何でもこなすR&Bレジェンドだ。スタイルズは、1960年のジェームスのデビューアルバム『アット・ラスト』の大ファンだ。「このアルバムのすべてが最高なんだ。曲順は、『I Just Want to Make Love to You』の次が『At Last』なんだけど、この2曲は音楽史上最高の組み合わせだ。エタのアドリブはものすごく濃密で、『さあエタ、君の本当の気持ちを聴かせて!』って言いたくなる」。

Translated by Shoko Natori

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