ファンクはプレーヤー間のスリリングなやり取り? ヴルフペックを鳥居真道が解き明かす

ジャックのシンプルなドラム・フィルに導かれて、いよいよバンド全体の演奏がスタートします。1、3拍目にキック、2、4拍目にスネアという王道ディスコパターンのドラムが入るとやはりグルーヴがどっしり安定しますね。ジャックは若干バックビートを遅らせて納豆のような粘り気を与えているようにも感じられます。3点の音量バランスも素晴らしい。

ヴルフペック一番の人気者、ジョーはバーナード・エドワーズ的なゴツくてバネの強いベースでボトムを引き締めています。彼は華美なプレイでフロアを大いに沸かすこともありますが、リズム・セクションはチームワークが重要なので、チーム内での働きにこそ我々は注視すべきではないでしょうか。1:55からのベースとドラムだけになる箇所を聴けばわかるように、ドラムへのレスポンスが実に素晴らしい。我々の下半身をモヤモヤさせるのはドラムとベースの息のあったプレイに他なりません。ちょっとこっ恥ずかしいことを言いますが、ファンクは非常にファンクショナルな音楽なので、プレーヤー同士のギヤが噛み合っていないと成立しません。各々が歯車となり時計のクォーツのように精巧な働きをして初めてファンクになる。それが私の持論その2です。

残る演奏者はピアノのジョーイ・ドーシックとウーリッツァーのウッディー・ゴスで、白玉系のフレーズとオブリでソフトな質感を楽曲に与えています。「外はカリッと中はふんわり」のふんわり担当です。ウッディー・ゴスは控えめであまり目立たない印象もありますが、ヴルフペックファンのベーシストなら必ずコピーする「Dean Town」のベースラインを考えたのは他ならぬ彼であります。「Fugue State」や「Smile Meditation」なども彼の作品で、個人的にはウッディーのファンです。

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