アジカン後藤正文・喜多建介が語るマニック・ストリート・プリーチャーズ

『This Is My Truth Tell Me Yours - 20 Year Collectors' Edition』のアートワークを用いた、マニック・ストリート・プリーチャーズ来日公演のフライヤーより(Courtesy of CREATIVEMAN PRODUCTIONS)

デビュー以来30年に及ぶ活動を続け、今もアルバムを発表するごとにチャートの上位に君臨し続けている英国を代表するロックバンド、マニック・ストリート・プリーチャーズが3年ぶりの来日公演を9月26・27日の2日間に渡って開催する。しかも、今回は初の全英1位を獲得した代表作『This Is My Truth Tell Me Yours』の20周年を記念するスペシャルなセットリストが組まれ、さらには彼らのファンを公言し、かつて自らが主宰する『NANO-MUGEN FES』で共演しているASIAN KUNG-FU GENERATIONのゲスト出演も決定。特別な夜を前に、後藤正文と喜多建介にマニックスの魅力を語ってもらった。


マニック・ストリート・プリーチャーズのアーティスト写真(Photo by Alex Lake)
左からショーン・ムーア(Dr)、ニッキー・ワイアー(Ba)、ジェームス・ディーン・ブラッドフィールド(Vo,Gt)

これまでに11枚のアルバムをUKアルバム・チャートTOP10入りさせてきた彼らは、1986年南ウェールズにて結成。グラム・パンク風の装い、キャッチーなメロディ、政治/文学/哲学を詰め込んだ知性溢れる歌詞とギターロックの肉体性との見事な融合で、強固な支持基盤を得ていき、92年、1stアルバム『Generation Terrorists』を発表。95年2月、最高傑作と言われた3rd『The Holy Bible』を生み出した後、カリスマ的人気を誇っていたリッチー・エドワーズ(Gt)が突如失踪、行方不明のままという衝撃的な困難に直面する。3人でのバンド続行を決意した彼らは、96年の4th『Everything Must Go』で商業的な大成功を収め、98年の5th『This Is My Truth Tell Me Yours』で初のUKアルバム・チャート1位を獲得。以降はUKを代表する国民的バンドとして確固たる地位を築いている。近年は2014年のフジロック、2015年のサマーソニック、2016年に‘Everything Must Go’ 20th Anniversary Tourと3年連続で来日を果たしている。



ASIAN KUNG-FU GENERATIONのアーティスト写真。左から伊地知潔(Dr)、後藤正文(Vo,Gt)、山田貴洋(Ba,Vo)喜多建介(Gt,Vo)

―まずは、マニックスとの出会いから教えてください。

後藤:大学の頃ですね。『This Is My Truth Tell Me Yours』(1998年)の前、4作目の『Everything Must Go』(1996年)のときかな? 当時サークルの仲間がいいって言ってて、聴いたんだけど、最初はあんまりよくわからなくて(笑)。コード進行が難しいと思ったの。当時自分が好きで聴いてたものよりも曲が複雑に聴こえて、すぐには良さがわからなかったんだけど、いろんな音楽を聴いていくうちに、ある日突然「めっちゃいいじゃん!」ってなって。そこから遡って聴いて、『The Holy Bible』(1994年)が一番好きですね。

―当時だと、初期のアジカンから連想されるウィーザーやオアシスとかをよく聴いてた感じですかね?

後藤:ウィーザーも変だなって思ったんだけど、ウィーザーはその変なところがフックになってて。でもマニックスはもうちょっと上手にできてるというか、滑らかに、自分が行かないコード進行に行くんですよ(笑)。その良さに気付くまでちょっと時間がかかって……建ちゃんの方が(好きになるの)早かったんじゃない?

喜多:僕も同じ軽音部の友達に薦められて、最初に聴いたのが1stアルバム(1992年の『Generation Terrorists』)で、やっぱりすぐに好きになったわけじゃなくて。1stってスタジアムロックみたいな音じゃないですか?でも聴いてるうちに癖になっていったというか、中毒性があって、だんだんとハマって行って。まあ、「A Design For Life」(『Everything Must Go』収録)とかはすぐにいいなって思ったし、当時はマニックスもブリットポップの括りに入れられたりもしてたんで、「好きになるはず」とは思ってて。で、『This Is My Truth Tell Me Yours』のときの来日公演がON AIR EAST(現TSUTAYA O-EAST)であって、そのライブがめちゃめちゃかっこよくて、それで決定的に好きになった感じです。

後藤:「Nobody Loved You」(『This Is My Truth〜』収録)は当時から文句なしの名曲だと思った。あのアルバムは認めざるを得なかったというか、やっぱりすごいなって思いましたね。「すみませんでした、めっちゃかっこいいです」みたいな(笑)。当時からウォールオブサウンドみたいなのは好きだったけど、マニックスは今聴くと案外上品で、すごく壮大だけどガチガチに音が詰まってる感じではないですよね。





―初期のハードロック/パンク的な作風から、『Everything Must Go』でストリングスの要素が入ってきて、その路線の決定打となったのが『This Is My Truth〜』でしたよね。

後藤:よりバンドが大きくなっていったというか、その後にアリーナとかでやってるライブDVDを観て、こんな大きなところでこんなすごい演奏できるんだって、それも記憶に残ってて。

―喜多さんは当時の来日公演を観て、特にどんなことが印象的でしたか?

喜多:ロックバンドの煌びやかさみたいなのを持ってて、硬派なんだけど、でも下品さもあるっていうか。追っかけとかもたくさんいたっていうのがよくわかる、ハマっちゃう感じというか、アイドル性を持ってるバンドだなって。音楽的にすごいのはフロントマンのジェームスで、演奏面はたぶんジェームスしか上手くないけど(笑)、でもスタンスとかが好きなのはニッキーだったりして、いろんな好きな面がありますね。

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