米20代の兄弟、幻覚作用入りベイプの違法製造で数億円ビジネス

2019年7月、ウィスコンシン州ウォキショー群の警察は、息子の寝室でベイプパッケージを見つけた両親の通報を受け、匿名のティーンエイジャーを捜査していた。捜査によって、地元コミュニティーでTHCベイプ製品が販売されていることが発覚した。

告訴状によると、ある秘密情報提供者がタイラー被告のコンドミニアムで同じようなカートリッジを何本も見たと明かした。捜査官は被告のSnapchatを確認し、そこにいくつものカートリッジの箱、マリファナのつぼみ、マネーカウンター、大量の現金の動画と写真を発見した。さらに、被告が8月28日にカリフォルニア州にファーストクラスで移動する様子を投稿した動画も発見した。被告は現金30万ドルが詰まったスーツケースを持ち、瓶に入ったTHCオイルを40から50個ほど買う予定だったのだ。

地元紙Kenosha Newsが報じたところによると、ジェイコブ被告はTHCオイルを購入するため、弟とともにカリフォルニアに向かったと警察に供述した。ケノーシャ郡のエリック・クリンクハマー警部補は、ジェイコブ被告がどの程度今回の事件に関与していたか調査中である、とNew York Post紙に述べた。「ふたりの関与は確実だと信じています」。


写真の提供元:ケノーシャ郡保安官事務所

タイラー被告は、今回の件に着手したのは2018年1月29日からだと当局に語った。THCベイプカートリッジの人気を利用しようとしたのだ。当初は梱包済みのカリフォルニア州のTHCカートリッジを1本2.50ドルで仕入れ、ウィスコンシン州では1本15ドルで販売していた。カートリッジが100本売れるごとに500から800ドルの金が被告のポケットに転がり込んだのだ。

こうしたオペレーションを効率化するため、被告はブリストルのコンドミニアムの作業員として少なくとも10人を雇い、空のカートリッジにTHCを入れる“製造ライン”をつくった。当初の時給はひとり20ドルだったものの、その後、モチベーション向上と節約と称してカートリッジ1本につき30セントという歩合制に切り替えた。

告訴状によると「投資すればするほど、金が稼げた」と被告は当局に語ったそうだ。「リスクがなければ報酬もない」。

「被告は、自らを青年実業家と称しています」とケノーシャ郡保安官のデヴィッド・ベスは記者会見で語った、と米オンラインニュースサイトBuzzfeed Newsが報じた。「20歳のビジネスマンである被告は、自分の利益のためには子どもを含むすべての人の生活を危険にさらすこともいとわないのです」。

さらにベス保安官は、本件に関わった他のメンバーの調査も進んでおり、さらなる逮捕者が出る可能性を示唆した。保安官は、誤解を招くパッケージのTHCベイプ器具を使う子どもがいないか注意するよう、保護者にも呼びかけた。「私たちの目の前で行われていたのです。保護者たちはこの事実を軽んじてはいけません」と述べた。

タイラー・ハフィンズ被告が初めて法廷に姿を現した月曜日、弁護士のマーク・リチャーズ氏は、アメリカの36の州と1の海外領土において400件近い病気と少なくとも6件の死亡を引き起こしたベイプ関連の健康被害と被告は無関係であると主張した。「ウィスコンシン州では誰も死亡していません」とリチャーズ氏は述べた。米NBCニュースによると、タイラー被告は罪状をいまだに認否していない。

Translated by Shoko Natori

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