LiSAが語るblink-182「昔も好きだったし、今も好きだと言えるバランスの大事さ」

LiSA(Courtesy of SACRA MUSIC)

blink-182(ブリンク182)がリリースする9枚目のフルアルバム『NINE』。枚数そのまんまなタイトルが表す通り、「ブリンクのありのまま」がより一層素直に詰め込まれた作品だ。

ヒップホップをルーツに持つトラヴィス・バーカーが今こそ若手のラッパーたちにラブコールを送られ、コラボレーションを行っていることも証明している通り、初期からいわゆるポップパンクの型に収まらなかったリズムとビート。その幅がさらに広がりつつ、しかしメロディの飛翔感や歌の掛け合いのバランスはBLINK節そのもので、古くからのファンも拳を握れるものになっている。時代性をしっかりと横目に見ながらも、「若者が好きなだけバカをできる遊び場」を担うように登場してポップパンクの分岐点となった自分たちの役目も今なお自覚しているーーそんな絶妙なバランス感で持って生み出されたことが伝わってくる作品だ。

2015年にトム・デロングが脱退し、マット・スキバを新たなギターヴォーカルとして迎えたblink-182。新たなトライアングルでも「変わらぬblink-182」であることを示そうとした前作『California』を経て、この3人で鳴らすblink-182をより自由に解放した『NINE』。その誕生を祝し、blink-182を心にガッツリと浴びてきたミュージシャンたちに「俺の/私のBLINK」を語り尽くしてもらうインタビュー企画。第一弾は、LiSAにご登場願った。勇気を持って変化していくこと、自分で自分の道を選びとっていくこと――存分に彼女にとってのパンク観を語ってもらった。

-LiSAさんがblink-182と出会って彼らの音楽を好きになったのは、どういうきっかけだったんですか。

元々はアヴリル・ラヴィーンに出会って衝撃を受けて、それを入り口にして、周囲でパンクを聴いていた人たちにいろんな音楽を教えてもらうようになったんです。NOFX、グリーン・デイ、グッド・シャーロット……その中にblink-182があって。しかも周りでバンドをやっている人たちが、みんなブリンクの格好を真似していて。ディッキーズを穿いて、ロングソックスでVANSを履いて、ベースやギターの位置も低い(笑)。それで調べていくうちに、ブリンクの3人が街を全裸で走ってるMVを観てビックリしちゃったんですよ。

-「What’s My Age Again?」のMVですね。

そうそう! 一緒にバンドを始めた子たちがブリンクに憧れていたのも、そこで全部納得したんです。普通に音楽を聴いていた私たちからすると、「これってアリなんですね!」っていうふうに、価値観を覆されることしかなかった。それはアヴリル・ラヴィーンに出会った時の感動と一緒で。女の子なのに暴れていいんだ、舌出していいんだ、車の上に乗っていいんだ――みたいな(笑)。



-行儀がいい必要なんてないんだ、と。

そうですね。「ちゃんと生きなくてもいいんだ」って思わせてくれたのが、私にとってはアヴリルであり、ブリンクだったんです。真面目に整列してみんなと同じことをしなくてもいいんだよって思わせてくれたところが好きだったんですよね。それでパンクに憧れるようになっていったし、パンクを聴けるきっかけになったのがブリンクだったんですよね。

-LiSAさんご自身が、整列して前ならえして生きることに息苦しさを覚えている人だったんですか。

そうだと思います。とにかく退屈を感じてたんですよ。地元で働いて、結婚して、子供を産んで――っていうのが普通とされてたんです。そう考えたら、未来のために頑張るのは意味があるのかな?って思っちゃってたんですね。

それで全部がつまらなく感じちゃって、普通っていうレールが本気で嫌になってたんですよ。そういう時にパンクロックを聴いて、鬱憤を晴らすことができたんです。好きなことをやって、好きな音楽をやって、それを世界に知らしめて。それに胸を張ってるところがカッコよかった。そんな時に、トラヴィスが言っていた「Live Fast, Die Fun」っていう言葉を聞いてすごく納得してしまって。未来に面白くない生活が待っていたとしても、今やりたいことをやらないでどうするんだろう?って思えたんです。生まれた時に敷かれたレールなんて関係なく、自分らしく生きればいいんだよって。そう思わせてくれたのがBLINKで、パンクだったんです。たとえば「Feeling This」のMVで、制服を脱いで下着姿で踊り出す女の子たちのシーンがあるじゃないですか。



-学校を牢獄に喩えているMVでしたね。

そうそう! 当時はまさに、ああいう気持ちだったんです。牢屋に閉じ込められてるような気持ちだったし、制服なんか脱いでワーッ!ってやりたかったんです!(笑)。

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