DIR EN GREY 薫が語る創作の裏側「意味を求めるとどうしても時間がかかってしまう」

音楽を作ることの意味とは?

―何か意味がないと、シングルを作るモチベーションはないというのはDIR EN GREYらしいなぁ。

例えば、「タイアップがあったから作ってみました」っていうのも、それだけで意味はあるじゃないですか。だけど、何もないのにシングル出しましたっていうのは……まぁそれも否定できないんですけどね。新しい音が出ればみんな聴いてくれますし、ライブのイメージも新たに加わっていくので。でも、軽くなりたくはないし……そういう想いは年々出きていますね。

―薫さんが音楽を作ることの意味も変わってきている?

音楽を作る意味は変わっていないです。だけど、より頑固になってきているというか。だから、一曲を作るのが昔ほど簡単にはできなくなってきているのも事実なんです。それは時間がかかってしまうことの言い訳でもあるんですけど(笑)。でも、それも含めて、何かしら自分の中で意味がないと、っていう想いが強くなってきてる。簡単にパッとできたものに意味があったなら、それが一番いいじゃないですか。早くできれば、それに越したことはないんですが、意味を求めると、どうしても時間がかかってしまうんです。

―表現に正解はないので、沈殿したものを出したからって必ずしもいい作品になるとは限らないし、瞬発力で作ったからといって軽いとも限らない……。

ただ、ファンの人たちは気づくと思うんですよ、「完全に置きにきたな」とかって。だから、嘘はつけないなと思いますね。だけど、その置きにいった作品も、例えば外の人からのオファーで「こういう曲を作って欲しい」と言われて作る場合は、両者との関係性でOKだったらそれでいいわけです。でも、誰かに依頼されたわけじゃなく、自分達で作って自分達が発表しますっていう場合は、置きにいったもの作ってもしょうがないので。

―そういう意味でも今回のシングルは、薫さん的にも納得するものができたと?

もちろん今まで作ったものも、そういうつもりで作っています。だけど、今回は特に強くそれが見えるだろうなっていう気がします。

―そして、この「The World of Mercy」は次の展開への扉になっていくと?

京君の歌詞は『The Insulated World』の完結的な意味合いだけど、俺は新しいところに行っているので、この曲は次に繋がると思っていますね。

―次に繋がるというのは、具体的には?

それは作ってみないとわからない。でも何となく、いけるところはあるだろうなっていうのはあります。

―手応えはあると?

それもやってみないとわからないですね。メンバーがそれでいいと思うかどうかもわからないですし。

―早く次を作ってほしいですね。

もう作ってます。ずっと作ってますもん(笑)。去年のアルバムが出た後から、曲作りはずっとしているので。どんどん作ってはいますけど、やっぱり時間がかかりますね。

―時間がかかるのは、一曲を作ること自体に?

もちろん曲のアイデアが浮かぶまでも時間かかります。『The Insulated World』を作っていた時は、ちょっと曲を思いついたら絶えず「こんな感じにしてみた」「こういうアレンジにしてみた」とメンバーに投げていたんですが、それをやっているとメンバー的には的を絞れないだろうなと思って。今は、自分の中である程度出来上がったものを聴かせようと思っているので、時間がかかっちゃうんです。なのでメンバーは、「まだ?」って感じだと思うんですよ。「全然音沙汰ないけど……」って(笑)。この曲もそうだったんです。4カ月ぐらいずっと一人でやってたんで、「どうなってるの?」ってメンバーに言われました。


DIR EN GREYの薫(Courtesy of DIR EN GREY)

―ちなみに今、薫さんの音楽への興味ってどの辺が中心ですか?

それでいうと、プライベートでは、ほぼ自分から聴こうと思って音楽を聴いてないですね。聴くよりも、作ろうとしている感じのほうが多いです。例えば、自分は画(え)を描くんですけど、画を描く時に音が流れているとダメなんです。もってかれちゃうんです。「面白そうだな」って聴いちゃうから。だからあんまり音楽を聴かなくなっていますね。

―では最近興味があることは? 今年は画の個展もやりましたが。

個展に関しては、こういうことやりたいなみたいなのはありますね。

―画を観に行ったりは?

頻繁ではないですが観に行ってますよ。

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