気候変動活動家グレタ・トゥーンベリのスピーチがデスメタルに

「10代の子の懸念や不安は強烈だし、社会にとって重要な推進力だ。アラブの春(訳注:2010~2011年の中東・北アフリカで起きた民主化運動)なんかがそうだった。でも、俺が作った曲には皮肉や場違いな陽気さも含まれている。実は、あんなふうに歌ったのはこれが初めてだった。ユーモアとメタルらしいポジティヴな態度が、怒りや憤慨と同じくらい強烈になり得ると思うし、その両者が共存できる場所があるんだ」と、メレディスが言う。

先週末にはトゥーンベリ自身はビデオを気に入り、自分のTwitterに「もう気候変動は卒業……これからはデスメタルだけやる!!」と投稿している。

奇妙なことに、この動画は「スウェーデンのデスメタル」という点が最も非難されている。これはアット・ザ・ゲイツやダーク・トランキュリティなどが広めたメタルのサブジャンルなのだが、メロディックなリードギターとしゃがれ声ボーカルが特徴として知られているのだ。つまり、メレディスの動画でのスウェーデン的要素はトゥーンベリだけなのだ。「俺も『これはスウェーデン・デスメタルじゃない』というコメントをうんざりするくらいたくさん見た(笑)」とメレディスも認めている。そして、「きっと『ブラックメタル』の方が適しているとは思うけど、このタイトルは彼女の出身国を表しているんだ。彼女の怒りにはバイキング的なイメージがあるってことは否定できないよ。まあ、ジャンル分けが必要なのは批評家だけで、ミュージシャンは好きな音楽を作るだけさ」と説明する。

この動画が人気になったとはいえ、彼も彼のバンドSuakaもこの曲をステージで披露するつもりはない。メレディスはコロラドで育ち、現在はクイーンズのリッジウッドにある地下スタジオ「モラスク・スタジオ」を経営している。また、彼のバンドメイトは二人ともインドネシア人で、何十年もアメリカ国内に住んでいるアメリカ市民だ。Suakaの音楽にはアジアのルーツがあり、最近リリースしたアルバム『Suakatrocity(原題)』でアジア・ツアーも行った。さらに、来月はインドネシアのバンドBurgerkillを招聘して、彼らにとっての初アメリカツアーを行う予定だ。

Suakaはそれなりに成功を収めているが、メレディスは新たなサイド・プロジェクトを得た気がすると言う。「この動画がバイラルになる前に、友人たちが他のスピーチをいろいろ教えてくれたんだ。この動画を作るのがとても楽しかったから、もう少しやってみようと思う」と、やる気になっているようだ。

Translated by Miki Nakayama

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