ビリー・アイリッシュについて、知っておいて絶対に損はしない20の事柄

分業制ポップの対極を行くアプローチ

10:
分業制ポップの対極を行く、DIYな
ソングライティングとプロダクション

2010年代のポップミュージックと言えば、複数のソングライターやプロデューサーが一曲に参加するコライティング方式がトレンドだった。ビヨンセにしろ、アリアナ・グランデにしろ、ポップスターたちのアルバムには数十人もの共作者がクレジットされているのは珍しいことではない。しかし、ビリーの音楽的パートナーはただ一人、兄のフィニアスだけだ。デビューのきっかけをつかんだ「オーシャン・アイズ」から1stアルバムに至るまで、すべての曲は2人だけで作られている。しかもレコーディング場所は、ずっと実家のベッドルームだ。


11:
ヒップホップの時代に適応するのではなく
その「次の時代」を代表するアルバム

ラップがポップになった今の時代、誰もがヒップホップの影響からは逃れられない。ビリーが言う通り「誰もがヒップホップに感謝すべき」なのだ。実際、新曲を出すたびに新たなサウンドシグネチャーを打ち出し、異なる層のファンを開拓してきた彼女の人気の拡大の仕方は、トラヴィス・スコットやチャンス・ザ・ラッパーといったストリーミング以降にブレイクしたラッパーたちとも似ている。ただ彼女はヒップホップに影響を受けていると言っても、あからさまにラップをしたりしない。ヒップホップの方法論を自分の音楽に持ち込むことで、「次の時代」のポップを定義しようとしているのだ。


12:
ビリーの1stアルバムのロールモデルは
チャイルディッシュ・ガンビーノだった

新たな時代を切り開くアーティストに共通する資質があるとすれば、ステレオタイプに疑問を投げかけ、リスナーの常識を揺さぶることだろう。それゆえに、「アルバムよりも曲単体が重要」と一般的に言われているストリーミング以降の現在において、ビリーがアルバムを「全体でひとつのアート」として重視しているのも何の不思議でもない。ちなみに、彼女がアルバムを作る上でロールモデルとしていたのは、2013年当時の潮流に逆らうようなコンセプト・アルバムめいた作りのチャイルディッシュ・ガンビーノ『ビコーズ・ジ・インターネット』。指摘されることは少ないが、ビリーの1stアルバムもバラエティに富んだサウンドが詰め込まれながら、統一されたプロダクションで作られており、リリック面での仕掛けも含め、かなりコンセプト・アルバムめいている。

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