ビリー・アイリッシュについて、知っておいて絶対に損はしない20の事柄

ダボダボの服を着る理由

13:
ビリーが「ダボダボの服を着る理由」

ビリーが同世代の女性から熱烈な支持を受ける理由の一つに、自分たちが感じる社会的抑圧に対し、しっかりと意見表明をすることが挙げられる。2020年のアメリカ大統領選挙を前に、自身の全米ツアー全会場に有権者登録が出来るブースを設置したのも、社会への意思表示の重要さを若いファンに伝えたいからに違いない。あるいはビリーのトレードマークであるルーズなシルエットのファッション。カルバン・クラインのキャンペーン動画での発言によると、これは自分のすべてが商品化されるソーシャルメディア以降の状況に対するアンチテーゼであると同時に、セクシズムに対する意志表示とも受け取れる。「自分のすべてを世界に知ってほしいとは思わない。私が大きくてバギーな服を着るのはそういうこと。服の下がどうなってるか誰も見たことないから、意見を言うことが出来ないでしょ。『ああ、彼女はスリムシックだ、スリムシックじゃない、おしりがぺったんこだ、おしりが大きい』なんて誰も言えない。誰も知らないんだから何も言えないんだよ」

Billie Eilish Speaks Her Truth in #MYCALVINS | CALVIN KLEIN




14:
社会から軽んじられがちな10代の声
若者だけが抱える「恐怖の力」の発露

いつの時代も世の中から若者は軽んじられ、「なにもわかっていない」と決まり文句のように言われ続けている。だが、「そんなのは馬鹿げてる!」というのが若者たちのリアルな声だろう。NMEの取材で「私たちはすべてをわかってるんだから」と断言した17歳のビリーは、そんな抑圧の中でもどかしさを感じる10代の気持ちを代弁する存在だ。彼女は10代の自分が愛を歌うことについて、このように話している。「年上の人に『お前に愛の何がわかる?』って言われても、自分の方がよくわかっていると思う。だって、自分はそれを今、初めて経験しているけど、その人は長い間それを感じていないんだから。彼らの方がパワフルじゃないって言いたいんじゃなくて、完全に違うフィーリングだってこと。彼らは愛、失恋、痛みに慣れていて、もう死にたいだけ。でも若い人にはすべてが新しくて恐ろしいんだから」


15:
ティーンが直面する恐怖や息苦しさを
反映した「ホラー」という同時代性

映画・音楽ジャーナリストの宇野維正が指摘するように、『ストレンジャー・シングス』と『IT』の大ヒットやインディペンデント系映画会社A24の台頭以降、映像界ではホラーというジャンルがホットになっている。ビリーが打ち出すヴィジュアル表現は、そうした現代ホラーとゴスカルチャーの結合だ。彼女はホラーを引用することで、人種や性別のマイノリティとしてではなく、白人のティーンという立場から「今の社会にはこういう恐怖や危険がある」と提示したのではないかと田中宗一郎は分析している。

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