ビリー・アイリッシュについて、知っておいて絶対に損はしない20の事柄

処方箋ドラッグ=ザナックスとの関係

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処方箋ドラッグ=ザナックスとの関係

ビリーのダークで気の滅入るような表現は、たびたびエモ・ラップやサウンドクラウド・ラッパーとの共通点が指摘される。どちらも現代社会の強い抑圧から生まれた退廃的表現だ、と感じる人が多いのだろう。だがビリーは、サウンドクラウド・ラッパー御用達の処方箋ドラッグ=ザナックスをモチーフにした「ザニー」で、彼らとの線引きを明確にする。ここで彼女は、「私にドラッグなんて渡さないで、今もこれからも絶対に」と歌い、アンチドラッグの姿勢を明確にしているのだ。この曲のリリックについて、ガーディアンの取材でビリーはこのように話している。「周りの人がやっていると、ついやりたくなるのはわかる。でも一緒になってやる必要なんてない。(曲のメッセージは)『ドラッグをやるな』っていうことより、『危険なことはしないで』ってこと。これ以上、友達に死んでほしくないから」

Billie Eilish - Xanny




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作家と直接的に繋がることが出来る
ファン・カルチャー時代の光と影

他者との「繋がり」というのは不確かな自らの実存を確認させてくれるセーフティネットであると同時に、制約でもあり受難でもある。ソーシャルメディアの存在がデフォルトになり、作家とファンはより近くなり、以前とはその関係性もすっかり様変わりしつつある。そこでは作家はすっかり丸裸にされることになり、熱狂的なファンは作家とのより近い距離を求める苦しみに苛まれることになった。ジャスティン・ビーバーの熱狂的ファンだったビリー自身もガーディアンにこんな風に語っている。「自分の存在を知りもしない人に片想いするのは辛い。だから自分のファンには同じ想いをさせたくない。だから手の届かない雲の上の存在にはなりたくない」。だからこそ、彼女は自分自身がトゥレット症候群を患っていることを公表するなど、すべてを鏡張りにすることで出来るだけファンとの繋がりを確固たるものにしようとする。かつてデヴィッド・ボウイがステージ上から「君はひとりじゃない!」と叫び、ステージ上で死を迎えるジギー・スターダストというアイコンを演じてから、果たして何が変わり、何が変わらなかったのだろう。


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ビリーの音楽は「ファンへのハグ」

お行儀が良い正統派ポップスターとは一線を画するビリーのアンチヒーロー的な佇まいは、ティーンのファンたちに健全な影響を与えているのか? という声もある。だが、自分自身の弱さや苦しみ、怒りや傷つきやすさを隠すことなく曝け出すビリーの表現は、「みんな、自分と同じように痛みを抱えている」ことをリスナーに気づかせるという意味で、救いになっていると言っていいだろう。実際、ファンに対し「大きな責任を感じる」と語るビリーは、自分の音楽は「あなたをハグして安心させるもの」と考えている。「私の音楽は安心や癒しを得るためにある。私はあなたがどんな気持ちかわかる、あなたは一人じゃないよ」とビリーはビルボードで語っている。

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