香港の人権問題よりも中国マネーを優先するNBA

NBAの中国依存に政界からも避難の声

NBAは、モリーによるツイートが中国のファンを「深く傷つけた」ことを認識し、同リーグは「中国の歴史と文化を大いに尊重している」として謝罪声明を出した。まるで、独裁政府に対して批判的なジャーナリストや批評家を抹殺することも可能な法案と関係があるような印象も受ける。スポーツ関連のウェブサイトThe Ringerに、GMとしての立場が危ういと報じられたモリーはその後、謝罪を表明したが、まるで上司から命じられて書かされたようにも取れる内容だった。ブルックリン・ネッツのオーナーで、中国Eコマース業界のコングロマリット、アリババの共同創業者でもあるジョー・ツァイは、Facebook上に公開書簡を投稿した。彼は投稿の中で、香港のデモを「分離主義運動」と表現している。ロケッツでガードを務めるスター選手のジェームズ・ハーデンも自分は関係ないにもかかわらず、なぜか「不徳の致すところ」などという謝罪のコメントを出している。

このように独裁政府に対して尻尾を振るような行為は、NBAが中国へどれほど依存しているかを示している。米大統領選への立候補を表明しているフリアン・カストロや、ベン・サス上院議員(共和党、ネブラスカ州)ら政治家らも左派・右派問わず、NBAの卑屈さを非難した。ロケッツ・ファンのテッド・グルーズ上院議員ですら、道義的な意見を述べている。

テッド・クルーズのツイート「長年のヒューストン・ロケッツ・ファンとして私は、ダリル・モリーGMが、中国共産党による香港のデモ隊制圧のやり方を批判したことに誇りを感じます。恥ずべきことにNBAは、目の前の大金のために尻込みしているのです。私たちはもっとしっかりとした考えを持てるはず。人権は売り買いできるものではないのです。NBAは中国共産党による弾圧を助長すべきではありません」

キング牧師の日を祝うTシャツをはじめさまざまな象徴的な意思表示の方法で社会正義をアピールしてきた米国にすら、機会ある毎に人権を抑圧している政権とのビジネスが適切だと考える団体が存在する。NBAは、中国北西部に位置する新疆ウイグル自治区にも出先機関を設置している。オンラインマガジンSlateが2018年に伝えたところによると、同地区ではチュルク語を話す約100万人の少数民族のイスラム教徒が、いわゆる強制収容所に入れられているという。同地区の首府ウルムチでNBAは、中国に3つあるナショナルトレーニングセンターのひとつを運営している。

Translated by Smokva Tokyo

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