映画『イエスタデイ』監督と脚本家が語る、今の時代に改めて伝えたいビートルズの音楽

4. ボイルはパンク愛好家として知られており、現在はクリエイション・レコード(オアシスをはじめ、80年代〜90年代の英国産バンドを多数輩出したレーベル)の伝記映画を制作している。彼は本当にビートルズのファンなのか?

イングランドで生まれ育ったボイルは、両親からビートルズのことを教わった。「僕には双子の姉がいて、2人とも家でビートルズの曲がいつも流れてたことを覚えてるんだ」ボイルはそう話す。「姉はポールのファンで、僕はジョンの真似をしてた。2人で彼らの曲を歌いながら、一緒にゲームしたり映画を観たりしてたよ。(シングルの)7インチは今でも持ってるんだ」

当初ボイルはレッド・ツェッペリンやデヴィッド・ボウイに夢中だったが、後にレコードで購入した『アビイ・ロード』のB面のメドレーには今でも驚嘆させられるという。「曲同士がスムーズかつ美しく結びついていて、ソウルフルかつ遊び心もある」彼はそう話す。「あれがリミックスやミックスっていう概念が生まれる遥か昔に作られたっていうんだから、本当に信じられないよ」。

5. なぜエド・シーランが出演しているのか?

それはクリス・マーティンの数多い功罪のひとつだ。2015年にイギリスで開催された慈善イベント、Red Nose Dayのオーガナイザーの1人だったカーティスは、コールドプレイが公開した『ゲーム・オブ・スローンズ』のミュージカル風パロディ映像を観て、マーティンの存在感とユーモアのセンスに感心させられたという。カーティスは当初彼にジャック役を打診したが、マーティンは自分は俳優ではないとして辞退している。

次にカーティスが声をかけたのが、第2候補のシーランだった。ロンドン郊外に住む2人の自宅は10マイルと離れておらず、シーランは「軽く飲んだり、サッカーの試合を観にやってくる」とカーティスは話している。本作の脚本を書くにあたり、カーティスが部分的にシーランをイメージしていたことを考えれば、彼に声がかかったのは自然なことだった。数年間にわたってツアーで世界中を巡った後、彼は昨年12月に幼馴染の女性と結婚しており、『イエスタデイ』のストーリーと合致する部分もある。「物事をシンプルに保つエドは、何かと思慮深いんだ。友人たちと休暇に出かけたりね」カーティスはそう話す。「第1希望はクリス・マーティンだったけど、エドは映画のインスピレーション源なんだ」。

本作が本格的な俳優デビューとなるシーラン(『ゲーム・オブ・スローンズ』のシーズン7に端役で出演している)は、何度かリハーサルを行った後に、本作のエンディングテーマを書き上げた。また彼はジャックが登場するシーンを、自身のスタジアムコンサートの場で撮影することを許可した。シーラン自身はクリス・マーティンの次に声がかかったのはハリー・スタイルズだと発言しているが、カーティスはこれを否定している。「第2候補はエドだったし、ナンバー2であることには何の問題もないんだよ」

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パテルとシーランが共演した『イエスタデイ』のワンシーン 写真:Jonathan Prime/Universal Pictures

Translated by Masaaki Yoshida

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