大麻ベイプの模造品台頭、違法メーカーの実態とは

腰が重い政府に代わって行動を起こす企業達

我々の取材に対し、カリフォルニア州大麻管理局の広報課長補佐を務めるアレックス・トラヴェルソ氏は、管理局が「約4か月前に」立ち上げて実施している啓蒙広報活動Weed Wiseを例に挙げた。この夏以前に行った密造の取り締まり対策はどんなものがあるか、と問い詰めたところ、トラヴェルソ氏はこう答えた。「当局では、2018年末から闇市場の取り締まりを行っています。違法小売業者に関する苦情に対処し、検挙に努めています」 だが、それ以上の具体的な例は提供してもらえなかった。

したがって、真の問題は闇市場ということになる。Kingpenはこのことを肌で感じている。同社のベイプ製品(同社いわく増量剤ゼロ)は人気があり、広く認知されているが、見た目は彼らのブランドとそっくりで、ロゴも同じで、THCオイルと思しき茶色い液体を詰めたベイプが、実は規制されていない海外のメーカーの製品だった、ということもある。しかもこうしたことは、規制が対応するよりもずっと速いスピードで起きているのだ。さらに「違法営業をしている販売店が特に問題です」とコラル氏は言う。「弊社では常時ウェブサイトで、購入の際は――当社製品であれ、他社製品であれ――許認可を受けた販売所で買うことを(消費者に)呼びかけています。ソーシャルメディアでも、コメント欄に寄せられたコメントには積極的に反応するように心がけています。たとえば、『フィラデルフィアでKingpenをゲットした! 最高!』と言うコメントには、『我々はカリフォルニアでしか販売しておりません』と返答しています」

それでもKingpenやその他メーカーの前にはかなり大きなハードルが待ち構えている。そのひとつが中国の超大手eコマースAlibabaに代表されるような、ブランド品を買い叩き、安値で売りつけて、常に規制の一歩先を行く外部サイトだ。「我々が自社製品や新製品を送り出すと、基本的に48時間以内に(Alibabaで)購入できるんです。それも手ごろな値段で、大量購入できてしまうんですよ? これがある意味、偽造問題を後押ししていると思います」と、コラン氏。彼はまた、販売所を列挙するサイトも考えものだと言う。リストに挙がっている場所が合法的に営業しているかという点に関して、おそらく信用調査が行われていないからだ。

州が消費者教育や違法業者の取り締まりに「もっと資金を投入し、もっと調査を行うべき」とコラル氏は言うものの、現在Kingpenは自社で偽造問題の改善に取り組んでいる。同社は9月に模造品防止プログラムの立ち上げを発表した。数百万ドルを投じたと言われるこのプログラムでは、3D認証ステッカーとQRコードをKingpenの全製品に取り付け、製品がKingpenの正規品であるかどうか、またカリフォルニア州の規定に基づいた同社の厳しい規格をクリアしているかどうかを消費者が確認できるようにするという。

Translated by Akiko Kato

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